内容説明
「若い人にも老人にも救いを与える、愛と人間賛歌のすばらしい書である」(瀬戸内寂聴)。流行作家で美丈夫の父がアルツハイマーになり、母にも痴呆があらわれる。著者は「心を失った」両親を11年間も介護し続け、その告白は大きな反響をまきおこした。ベストセラーになった老親介護の体験記、ついに文庫化。
目次
発病 悶々とした日々
引退 静かなる収束へ
母の発病 地獄の始まり
父の悪化 修羅の日々
安寧 穏やかな介護の日々
常楽 仏さまのようになった父
父と母 父と娘
母と娘 母と息子
母 その悲しいボケ方
父と母の今
私たちの章
静かなる終焉に向けて
私たちの老後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
31
☆☆☆★ 本当はすごく大変な介護なのに、筆者の明るさとユーモアで、その大変さが軽減されているような気がする。自分が作家であることも忘れてしまった晩年の丹羽文雄。でも素敵な娘さんに介護されて幸せだったのだと思う。それから介護する人へのケアも大事ですね。2021/10/04
のし
8
介護の日々、尊敬する父、このギャップが大きく心を動かされます。2017/12/29
駄目男
4
著者の本田桂子さんという人は大柄でとても美人だと思っていたが、あれはいつのことだったか、テレビのドキュメンタリーで病を患って介護中の親子を扱った番組を見たことがある。 今思えば録画しておくのだったと後悔している。 自宅の書棚に並ぶ本を娘さんが父に紹介しているような場面があった。 「これは誰が書いた本?」 「・・・」 「これはお父さんが書いた本なのよ。これも、これもみんなお父さんが書いたものよ」 まさか、介護している娘さんの方が先に逝くとは。2015/05/01
佑依-Yui-
3
アルツハイマー型認知症の父・丹羽文雄と、時を近くして同じ病に陥った母との介護生活を描く。丹羽文雄は102歳まで大往生を果たし、著者は父より先にこの世を去ってしまうと言う悲しい終着点ではあったが、病を病と気負わず、父への敬意も持ち続けながらご看病に身を尽くされた様子に兎に角頭の下がる思い。最後まで、文豪・丹羽文雄を立て続けた介護。かと言って息を詰め過ぎず、周りの方々の協力も仰いでおられ、だからこそ一層ご立派に映ったのだとも思う。2015/10/05
ゆりあ
1
高齢の親を抱える身として、身につまされて読みました。とても参考になりました。2014/10/02