中公文庫
気分はおすわりの日

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  • サイズ 文庫判/ページ数 162p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122034624
  • NDC分類 645.6
  • Cコード C1195

出版社内容情報

絵描き一家の飼い犬グレイはシベリアンハスキー。四歳になり、体重も四倍に。ある日、てんかんの発作を起こして。シリーズ二冊目。

内容説明

食べて寝て、甘えてだらけて体重二倍、年齢四倍になった犬のグレイは、立派なドアストッパーになった。道行く人にも平和を分けてくれたグレイだったが、ある日突然の入院―犬が描かせたスケッチ帖『グレイがまってるから』その後の物語。

目次

病気(梅林公園;発作 ほか)
音楽(緑陰コンサート;ハイドン’92 ほか)
昨日・今日・明日(笑う人笑う犬;グレイのさんすう ほか)
気分はおすわりの日(グレイの入院;グレイの退院 ほか)
そして三年…(しっぽみたいなお話)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

377
グレイの3冊シリーズの2。アレルギーとてんかんの持病を持つグレイ。この半年ほどは平穏だが、我が家の愛犬もてんかんの発作に見舞われることがあるので身につまされる。著者が絵描きなので、たくさんのグレイのスケッチが残されている。これを見るにつけても後悔することだろう。犬はスケッチされて、後でああ、あんなに可愛かったのだなあと述懐されるよりも、今その時に撫でまわしてほしかっただろうにと。そう、犬は常に現在形で生きているのだ。犬の生には過去はあるだろうけれど、おそらく未来はない。明日無き犬と共に今日の1日を。 2019/11/09

のっち♬

131
『グレイがまっているから』の見本を書き上げた瞬間にてんかんを発症したグレイ。かつての元気はなくなり、身体は丸みを帯びてきた。スケッチ・文章が一気に質素になってトーンが落ち、グレイの体調悪化と父親の喪失といった無常な現実と折り合いをつける意味合いも兼ねて執筆した印象が見受けられる。もっとも、幾らミニマルになろうとも精彩は最大限出すのが著者。気分がおすわりの緩やかな日々で見せる何気ない仕草や表情はどれも愛嬌に富み、グレイへのささやかないたずらから素朴な詩情まで著者の愛情とユーモア、そして無力感が滲み出ている。2022/09/13

kinupon

84
飼い主にも、どうしてあげることも出来ないことが沢山あります。グレイはじっと耐えながら、でも飼い主の愛情でたくましく生きていきます。絵描きのお父さんの描き方が良いですね。2017/04/24

kanegon69@凍結中

77
またグレイに会えた!そして可愛らしい姿が伊勢さんのイラストでたくさん描かれておりとても愛おしい!著者のグレイへの愛情をとても感じるイラストばかりでした。本作はグレイ・シリーズの2作目ですが、アレルギーと、てんかんの発作を繰り返す話が中心で、すごく気をもんでしまいました。言葉を話せないグレイ、てんかん発作を起こしてグレイ自身も不安だったろうし、伊勢さんのご家族みなさんもかなり心を痛めたことでしょう。なかなか厳しい現実に向き合う伊勢さん一家。3作目が進むのが正直怖いが、でもやっぱりグレイに会わずにはいられない2019/11/16

けろりん

63
気配を探る。変化する雲の形に、枯葉の累積りに、風の音、季節の訪いに。引き綱の先の確かな手ごたえ。みっしりと生命が詰まったシルバーグレイの毛皮。「ね、」と語りかけるきらきらした眼。繰り返し描かれる寝姿、後ろ姿、「なーに」と振り返るいじけ顔。絵描きの物事を子細に観察し写し取る能力は、時に残酷だ。本人にとって。見えない存在となってしまった犬との愛おしい歳月を、どんな小さな欠片も落とさないように抱締め、綴り、描く。サンサーンスの三連符で揺れるしっぽ。庭先に蟠る引き綱の寂しさ。グレイ、グレイ、あいたいよ。2019/03/03

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