中公文庫<br> カザルスへの旅

中公文庫
カザルスへの旅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 237p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122028708
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1195

内容説明

カザルスの弾くセロに魅せられてスペインへ、賢治の心の修羅に惹かれ、東北へ。自由な魂を得るために、スケッチブックを片手に出た旅はいつしか、北の国の五歳の原風景へとたどりつく―人々に出会い、奇跡に導かれ、自分を包みこむ大きな愛に気づき、絵描きは、どうしようもなく絵描きである自分を発見していく。自分探し、手作りの旅の記録。

目次

第1章 カザルスへの旅(プラド;ベンドレル、サンサルバドル;クレモナ;ブレンナー峠;汽車の旅)
第2章 パリひとり時代
第3章 もうひとつの旅(遠野、花巻の旅;賢治の修羅;賢治のセロ)
第4章 はこだて幻想

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

333
著者は絵本作家のようだが、私にとってはこれがファーストコンタクト。本書からは、彼女がエッセイストとしても飛び抜けて一流であることがわかる。「カザルス」に魅かれて購入したが、表題のカザルスの足跡を訪ねる旅(ピレネー山中のプラド、カタルニアのベンドレル、サンサルバドル他)からは、あのカザルスの重厚でありながら、それでいて突き抜けるように明るいセロ(本書の表記)の音が鳴り響くかのようだ。また、「パリひとり時代」では、著者の若き日の魂の遍歴が直接肉声を通して語られるかのようだ。全篇これ思索に満ちた随想である。2018/06/11

mocha

73
第1章 幼い子ども達と夫を置いてヨーロッパへ「カザルスへの旅」第2章 芸大院生の頃、すべてを捨てて旅立った「パリひとり時代」第3章 遠野物語と宮沢賢治の世界へ分け入る「もうひとつの旅」第4章 幼い頃の自分を探して「はこだて幻想」いせひでこさんは、その絵本から穏やかで静かなイメージを抱いていたが、実は激しく熱いものを秘めた人なのだと認識を新たにした。これは紀行文ではなく、芸術家のどうしようもない苦しさと渇望の激白だ。この本が書かれたのは20数年も前のこと。そののちの波乱に満ちた人生をたどってみたいと思った。2015/09/30

きりこ

43
チェロを弾くことと絵を描くことは生きることに等しいのだと、音楽と絵のマリアージュのような絵本を描きたいと長い間夢見ていた伊勢さん。その想いが20年以上の時を経て「チェロの木」として実を結んだのですね。チェロへの想いから派生する樹木や職人さん達を描く後年の絵本の原点が確かにこの本にありました。カザルスの縁の地や楽器工房を訪ね歩く紀行文には美しいスケッチが添えられています。一人旅はいつしか幼い頃の原風景へ。自分と対話する心の旅となっていきます。続く→2013/10/16

ジュースの素

11
カザルスから日本人で初めて教えを受けた先生から、伊勢さんは子供の頃セロを習った。パブロ・カザルスはスペイン内乱の為、南仏のピレネーの山の中に暮らした。山のほんの小さな村にその家はあった。幼い二人の子を置いての伊勢さんの憑かれたような旅の模様が凄い。その想いに応えるように何故か次々に扉は開く。その空気の中に佇んでいればよかった。彼女の深い思いが澄んだ田舎の空気と共に読者も感じられる。決して金や名誉の為にはセロを弾かなかったカザルスの音楽に対する思いに打たれる。2019/08/28

HoneyBear

9
カザルスが生き、彼がバッハの無伴奏を見出して奏ではじめたところに身をおいてみたい、楽器つくりの現場をのぞいてみたい、といった感性赴くままの旅は豊かな思い出を残すだろう。作者の絵本はいつも美しく素直に心に響くが、このような旅が原点となっているのだな。2014/08/05

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