中公文庫<br> 化城の昭和史―二・二六事件への道と日蓮主義者〈上〉

  • ポイントキャンペーン

中公文庫
化城の昭和史―二・二六事件への道と日蓮主義者〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 427p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122027176
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

昭和七年二月十六日、奉天で開かれた満洲建国会議の会場に「南無妙法蓮華経」と大書した垂れ幕が下がった。一体、満洲建国と法華経はどう関わっていたのか。さらに血盟団事件、五・一五事件…と進む日本ファッシズムの形成過程で顔を覗かせる石原莞爾、北一輝ら日蓮主義者たちはどのような役割を果たしたのか。日蓮主義を通して戦前を見直した異色の長篇。

目次

垂れ幕は証言する
霊感夢告
兵法とは妙法なり
糸つむぐ人
問答無用
仏陀を背おって

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

黒豆

7
新聞記者の改作(尾崎秀実がモデルになっているようだ)は、満州建国会議場のスナップ写真に「南無妙法蓮華経」の垂れ幕を見付け、満州と日蓮主義の関係性について調べ始める。石原莞爾、北一輝、血盟団の井上日召、西田税、宮沢賢治。 昭和史に重大な足跡を残した人物達が日蓮イズムに傾倒していた事実が明らかにされていく。浄土宗の僧侶であった作家が書いているだけあって、日蓮主義に対して手厳しい評価を下しているが、他宗派であったからこそ冷静で突き放した目線で書くことができたのだと思う。2014/08/08

筑紫の國造

6
「日蓮主義」から戦前を捉え直すという野心的な作品。そう言えば、石原莞爾、北一輝、井上日召など、昭和史の重大部分を担う人々の後ろには「日蓮」の影がちらつく。今までこうした面から昭和史を見通した著作は読んだことがなかった。仏教知識が必要なため、歴史学者には触れづらい部分なのだろう。その点、著者は僧侶という強みを持ちつつ、日蓮主義ではない(浄土宗)という他者の視点も合わせ持っており、いい位置にいると言える。フィクション部分もあるが、読者の理解を助けるものであるし、はっきり区別出来るので問題はないだろう。2016/12/06

ポン・ザ・フラグメント

3
戦前の日蓮主義ってのは、マルクス主義と並び立つ「大きな物語」だったんだな。北一輝の「霊告日記」なんてオカルトなものに目をとらわれて、戦前の日蓮主義を了解不可能な対象として括ってしまってはいけないのだろう。石原莞爾は「世界統一ノ天業を完ウスル」と日記に書いた。「世界統一」という言葉を冗談でも理想でもなく達成目的としている人間が軍部の中枢にいたという事実。ただ驚くべきは、石原個人の異質性ではなく、そういう異質さが許容される環境がけっして異常な状況ではなかったということだ。2015/10/26

NyanNyanShinji

1
上下巻に分かれた本書。感想は下巻の読了後にするとして、この巻を読んでて起きた事件をば…普段通っている整骨院が創価学会の方々が集う場所で、この本を忘れ物してしまった。浄土宗の僧が書いた戦前の法華宗の過激な本書をよりに寄っての場所に置きわすれて、凄く気まずい思いをした。まさに針の筵。2022/11/12

hamham

1
二・二六事件と日蓮主義との係わりを知りたくて手に取りました。しかし、上巻は二・二六以前の満州事変、五・一五事件前後の話で終わります。そして、著者が浄土宗のお偉いさんということで、本文での日蓮主義の扱いはお察し。【追記】二・二六事件の青年将校のことは下巻でもほぼ書かれていないので、それお目当ての方は下巻まで「化城」を追いかけなくてもいいかもしれません。2013/11/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/69192
  • ご注意事項