中公文庫<br> 危機の構造―日本社会崩壊のモデル

中公文庫
危機の構造―日本社会崩壊のモデル

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  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784122017863
  • NDC分類 304
  • Cコード C1131

内容説明

表面上の社会組織レヴェルはともかくとして奥底の社会構造レヴェルでは、日本人の思考・行動様式も集団機構の原理も戦前と何ら変わらない。機能集団が同時に運命共同体としての性格を帯び、かかる共同体的機能集団の魔力が日本人の行動を際限もなく呪縛するのだ。その矛盾のダイナミズムの所産たる“構造的アノミー〈無規範〉”の生成と社会における展開過程を分析した著者の記念碑的処女作。

目次

第1章 戦後デモクラシーの認識
第2章 日本型行動原理の系譜
第3章 歴史と日本人思考―ジャーナリズム批判
第4章 「経済」と「経済学」
第5章 危機の構造
第6章 ツケを回す思想
第7章 社会科学の解体

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobody

16
かつてブログで小林秀雄『様々なる意匠』を論文として破綻している(だって小林自身が論文だと言ってたから)と批判したら高校生からそんな融通きかないんじゃ本を楽しめませんよと叱られた。これは即ち叙情詩として読め、ということだったのだ。小室の著作は叙情詩として読まなければならないのだとやっと悟った昨今。何が違うのか。主体中心か客体(対象)中心かが違うのだ。小室への違和感は、客体(対象即ち学問)中心たるノンフィクション(論文)界で主体(書き手の個性)を発揮しようとする所だ。対象が中心たる学界では、真理に収斂していく2020/04/16

たばかる

15
アノミー論を軸に日本社会(特に会社共同体)を分析する。戦前から続く、盲目的な命令追従をしがちな日本人に、戦後の規範の不在(=アノミー)は大きな打撃だったようです。日本の経済成長に合わせそれを埋め合わせる会社共同体やイイ暮らしはできるものの、複合的なアノミー、分野や規範がごちゃ混ぜになって都合よく使われるために人々が目的だとかを見出すのが困難になってしまっている。後半に社会科学系の分野の話(経済ー心理ー政治)になるが、これもそれぞれ専門的な方法論ができて分散しており総じて架橋する議論ができないことを嘆く。2022/08/08

takam

11
小室直樹のアカデミックから評論に進出する契機になった本である。氏のアノミー論を丁寧に解説していて、社会科学軽視の憂いている内容。アノミー論は彼の十八番であるが、最も丁寧に解説しているし、体系立てて展開しているところ、論文に出した内容を本にまとめたといったところだろう。彼が説く危機の構造は今も根強く日本に残っており、このコロナ禍でも多くその現象は観測された。今でも広く読まれるべき本である。 再発を期待する。刊行当時は単価500円(消費税3%)であった本書を2000円ほどで中古本を入手した。2021/01/18

bapaksejahtera

1
さして難解というほどではない。小室「カッパ」時代以降の言説を纏めたともいうべき著作。ただし我が国の経済のその後の見通し誤りと中国国家資本主義の台頭を予見できなかったところは注意すべきであろう。2019/11/22

1
石油危機。構造的アノミー。共同体的機能集団。日本人の「所有」概念。規範と下位規範。制度と下位制度と疑似制度と陰の制度。社会科学の要件。理論と実証。理論重視が経済学。実証重視が心理学。2014/10/16

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