内容説明
官界をきらい野にあって酒を愛し自由を享受した中国六朝時代の稀代の詩人陶淵明の、主要作品をとりあげ味読しつつその文学世界と生涯を解明する。「閑情の賦―陶淵明余事」「陶淵明詩の訓詁」「燃焼と持続―六朝詩と唐詩」の3篇を併録する。
目次
陶淵明伝
閑情の賦―陶淵明余事
陶淵明詩の訓詁
燃焼と持続―六朝詩と唐詩
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へい
5
専門の先生が難しいという詩が分かるはずもなくなんとなく読み進めたけれど、やはり東洋哲学だからか無常というのを非常に意識させられた。確かに王朝だから主君というのはずっとい続けるはずもなくだからこそ酒で酔ったり文官をやめ農作業に従事するというのは日ごろ勤め人をしている人間だからなんとなくわかる。そういう意味で才能があったから実現できているのだけれど陶淵明という生き方は勤め人にとっては理想の生き方のように感じた。そしてやはり中国は無為自然という思想が非常にフィットしているんだろうなと勝手な解釈をした。2017/05/16
たけはる
4
吉川先生、やろうと思えば歴史小説作家にもなれたのでは? と思うほど、この方の文章っておもしろい。わかりやすくてスラスラ読めるだけじゃなく、なんだろう。やはりどこかに、心踊るような「物語性」があるのですよね。たぶん先生御自身の情熱と生き生きとした想像力と知識とが絡み合って、読み手にワーッと伝わってくる。その熱さが心地よく、ワクワクしながら読みました。先生の他の著作も読んでいきたい。2018/04/12
零水亭
2
たけはるさんのおっしゃる通り、陶淵明の人生に沿って解説している感じですよね。そうか〜それで読みやすく感じたのかぁ〜 (私的な話で恐縮ですが、「飲酒」から子供の名前とりました)
掬水
0
陶淵明の隠遁は気楽な現実逃避としての世捨てではなく彼がかつて身をおいていた政界と軍事との絶えざる緊張感のもとに営まれていたという話が面白かったです。2023/11/06