中公文庫<br> 墓標なき八万の死者 - 満蒙開拓団の壊滅

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中公文庫
墓標なき八万の死者 - 満蒙開拓団の壊滅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 289p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122003132
  • NDC分類 916
  • Cコード C1123

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

131
満蒙開拓団の「壊滅」の記録である。国策として満州国に渡った開拓団の人々。彼等は大東亜戦争の敗戦前から国境近くに取り残され棄民されていた。ソ連の侵攻により財産の全てを喪い引き揚げる様子は筆舌にし難い。ソ連軍や満人の略奪、襲撃。生還することが奇跡であった。本作では彼等の引き揚げ後の苦労も描く。離ればなれになった肉親を探し求める苦しみ。生き残った自分を責める日々。この作品は物語ではなく記録である。73年前の夏に起きた酷薄の引き揚げを忘れないために、また、引き揚げを知るために、多くの方に読まれて欲しい作品である。2018/07/28

かおりんご

31
読み友さんの感想で気になったので借りました。満蒙開拓団の引き揚げの記録。子どもとはぐれた母親、辱しめを受けさせないよう妻子を殺した父親、置き去りにされた子どもたち。どの話も心を揺さぶります。生と死は常に隣り合わせで、きっと嫌なことや卑怯なことにも手を染めたと思います。だって、自分が生き延びるためですから。平和な世の中じゃいくらだって綺麗事を言えるけれど、生きていくために他人を踏み台にするのはいたしかたなかったのかなと思います。そんな悲しい出来事が繰り返されませんように。2018/08/14

James Hayashi

30
阿鼻叫喚の世界。敵はソ連兵ばかりでなく暴徒化した満州人も。母の手で絞殺される子供、青酸カリを手にするもの、女性は狂乱とかした男たちに襲われることを危惧し自死を選ぶ者も。彼らの殆どは軍人でも軍属でもない民間人。開拓団の末路を経験し、帰国後も苦労をし、風前の灯火の如く戦後を生きる。生き残った者も満州を思い悲哀に暮れている様子が痛切だった。2018/07/27

モリータ

14
平凡社新書『移民たちの「満州」』の参考文献から。満州各地の開拓民の聞き書きをもとに、それぞれが戦後めでにたどった運命を交錯させながら時系列順に追っていく。現地人を支配しながらの開拓であったことへの自省的な部分は多少あるが、それが基調ではない。また満人・ソ連兵は心理的な交感のありうる人間として描かれていない(良いか悪いかの問題でなく)。/しかし実際に体験されたことの証言が(それが人間の愚かさを示していようが)どれほどのリアリティを持つのかは、歴史を語ろうとする者がリテラシーとして身に着けておくものだなぁと。2017/09/02

wei xian tiang

6
購入以来、ページを開いても余りの辛さに何年も読み進むことができなかった。今年も8月9日が来るのを前に意を決して読了。一頁一頁、よく語られる「引揚げの苦難」とか「混乱の中で命を落とし」なんて言葉では全く足りない、これは八万人の「在満日本人大虐殺」である。戦後の日本社会、特にマスコミがユダヤ人やソンミ村のことは頻繁に取り上げるの一方、同胞の身の上に降りかかったこの理不尽な「人道に反する罪」にいかに不感症で、引揚者に冷淡どころか全くの無関心であったか。引揚者という言葉も一旗組の引き揚げという語感で本質を見誤らせ2014/07/31

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