出版社内容情報
現存するもっとも偉大な人文学者レヴィ=ストロースのもっとも代表的な著作、それが本書である。Ⅱは、ブラジルの現地調査で得た民族誌的知見があますところなく盛りこまれている。
目次
第6部 ボロロ族(金とダイヤモンド;善い野蛮人 ほか)
第7部 ナンビクワラ族(失われた世界;荒野で ほか)
第8部 トゥピ=カワイブ族(カヌーで;ロビンソン ほか)
第9部 回帰(神にされたアウグストゥス;一杯のラム ほか)
著者等紹介
レヴィ=ストロース[レヴィストロース][L´evi‐Strauss,Claude]
1908年生まれ。フランスの人類学者。パリ大学卒業後、リセで哲学教師を務めた後、35年サンパウロ大学社会学教授としてブラジルに赴任、インディオ社会の実地調査にあたった。59年コレージュ・ド・フランス社会人類学講座の初代教授。本書をはじめ、『親族の基本構造』『野生の思考』『今日のトーテミスム』などがひろく人文社会科学に与えた影響ははかりしれない
川田順造[カワダジュンゾウ]
1934年(昭和9年)東京生まれ。東京大学教養学部教養学科(文化人類学分科卒)、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。パリ第5大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授を経て、現在広島市立大学国際学部教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
47
3週間近く毎日読み続けやっと読了。正直言うと学術書・理論書として読むと意味のとれない箇所ばっかりで数パーセントも理解できていない気がする。にも拘わらず楽しい。それは小説的面白さ。40の短編小説(=章の数)と思えばよい。にしても難解。終わり近くの有名な文。「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」。そりゃあたりまえかもしれないが、真剣にこのことを考え抜いた本。そして末尾の文章(コメント欄)!!。自然の中から生まれたが、動物とは異なる進歩を遂げてしまった人間、その人間とは何かを問うたのだ。2015/12/18
zirou1984
46
南米の少数民族についての解説が主となる下巻だが、やはり白眉なのは第九部にある「一杯のラム」。民俗学者とは自らが所属する文化からも研究対象とする文化からも「よそもの」であることを自覚しながら、また民俗学というという分野自体が他の民族を踏み付けにしてきた証左であることを理解しながら、それでも目を見開こうとする態度表明にはどうしても心動かされてしまう。イスラムへの不理解と仏教への過度な賛美を表し、ストロースもまたサイードが批判したオリエンタリズム性に縛られていることが透けて見える最後に少しだけ心を痛めながら。2014/01/25
ころこ
42
ナンビクワラ族から俄然文章が活き活きしてきてきます。詳細な描写と共に写真が男女問わず艶めかしく、鮮烈な印象を残します。他方でそれらは「八人の男のうち、一人は梅毒に罹り、一人は脇腹が化膿して悪臭を放ち、一人は足に傷を負い、もう一人は皮膚病で全身が鱗に覆われていた。聾啞者も一人いた。」「彼らは腹に寄生虫をもっているようで、その証拠に、彼らの胃はひどく膨らみ、絶えずガスが溜まっている。」といった文明人にとっては居心地の悪さと同居しています。「1933年に殺された宣教師たちのことや、上半身だけ出して地面に埋められ2022/02/23
ドン•マルロー
29
下巻は南米の様々な少数民族のことが仔細に記され、フィールドワークに基づく紀行文としての様相がはっきりあらわれる。が、やはり特筆すべきは本書の総括となる第九部。自らの所属する文化と研究対象となる文化の狭間にたつ民俗学者の葛藤、寄る辺ない感情が包み隠さず吐露されており衝撃を受けた。歩みを止めること、と著者は言う。そう、休みなく歩き続けた人類のことである。ちょっと小休止を挟むくらい、わけないことだ。文明の正反対にある景色を熟視するために。あるいは、いま自分がどこにいるのか、じっくり検分する時間を確保するために。2016/06/28
mm
28
感想は250時程度では終わらないので、3%ほど。生者と死者のところに関して。人の死は、物理的な意味と社会的な意味がある。弔いの儀式には、その人がどう生きたのかという解釈や定義付けがなされる為のものではないだろうか?故に、簡単に済ませてしまう今日の風潮は、1人の人間の生命が軽く扱われるという事と同義だと思う。葬式しなくて良いよ、誰も呼ばなくて良いよ、ということは、私が生きていた事も死んだ事にも価値がないと宣言しているようで、ちびっと淋しい。。2021/10/07