中公新書ラクレ
ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景

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  • サイズ 新書判/ページ数 272p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121500571
  • NDC分類 302.25
  • Cコード C1231

出版社内容情報

ITと核での大国であり、印パ紛争に示されるように今や反ムスリム運動の最も戦闘的な国・インド。現ヴァジパーイー政権の出身母体であるにもかかわらず、その宗教的閉鎖性と過激性ゆえに、欧米マスコミはもちろん、日本の特派員もなかなか入れない対象に潜入して、一訓練生としてインドの下層大衆と触れあい、また、RSSの指導者たちとも対話を繰り返した記録。写真多数(100点以上)。ラクレの「地域の現状報告」シリーズの一冊。

内容説明

核とITの大国。GNPの大きな伸び。そして戦闘的な反ムスリム運動の国・インド。その背後で民衆の心を捉えるRSS(民族奉仕団)の姿を描き、現代史の中に鮮やかに位置づけた力作。

目次

序章 ヒンドゥー・ナショナリズムの現場から
第1章 草の根のヒンドゥー・ナショナリズム―RSSのシャーカー活動
第2章 ムスリムとの対立
第3章 RSSの諸活動
第4章 宗教ナショナリズムの台頭
第5章 現代インドの現場からの問い―リベラリズムの限界・宗教復興の可能性

著者等紹介

中島岳志[ナカジマタケシ]
1975年大阪生まれ。大阪外国語大学外国語学部卒業。現在京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程在学中。日本学術振興会特別研究員。専門は南アジア地域研究
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

frosty

13
読んでいて、RSSという団体の活動が、だんだん戦前の大日本帝国と重なってきた。個々人を個別に認識させないために制服を指定するということは、人を人として見ていないということではないだろうか?国というものは、発展するために、成長するために、戦争をして国民を犠牲にしなければ、発展・成長出来ぬものなのだろうか?他の国の歴史を見て学ぶことはできないの?2017/10/07

garth

12
ヒンドゥー原理主義とは何かを知りたくて読む。現在盛り上がってヒンドゥーイズムは大英帝国からの独立、印パ分離からはじまっていると知る。古神道運動、あるいはオカルト復興のような捏造された過去なのかなあ。いろいろ面白くなってきたんで、もう少し勉強したい。2021/11/29

yo

5
インドの社会活動団体RSSの活動を現地調査を通じて、ヒンドゥー・ナショナリズムの思想内容やヒンドゥー教の考えとの相違などが詳述される。近代化、そして経済成長をしていく中で、近代主義に辟易し、倫理観がなくなっていった時代に反発する「宗教復興の心性」がヒンドゥー・ナショナリズムという政治的スタンスに吸収される様は非常に興味深く、また近代の超克をすることの難しさを痛感する。個人的にはそういうインドの状況が、現代の日本の右派と重なる面を多く感じたので非常に面白かった。おかげで日本の状況も相対化できて非常に良い。2016/11/29

ひろ

4
★★★★★。特に前半部は著者自身の現地密着取材を元にしており臨場感抜群、よくぞこのとっつきにくい国・テーマをここまで追及し本にできたものだと感銘を受ける。ピンポイントなトピックながら政治・宗教・哲学など普遍的・広範な話題に発展する理論には大きな可能性を感じる。いかに生きるべきか、西洋文明に押し付けられたライフスタイルではない本来の自分たちのアイデンティティとは何かを模索するインドの姿には精神の豊かさについて大いに考えさせられるが、確かに戦前の日本のようにそれを悪用して暴力を扇動する不届者の存在は危うい。2021/05/30

鉄路のほとり

3
2014年5月16日、インド総選挙でナレンドラ・モティ率いるインド人民党(RJP)が圧勝したことが伝えられた。RJP、およびその母体であるRSS(民族奉仕団)とはどのような団体なのか。彼らの根底にあるヒンドゥー・ナショナリズムとはどのような思想なのか、を解説したのが本書だ。「ヒンドゥーの伝統的価値観への回帰」すなわち生活を支える理念の再評価が、彼らの中心的主張。RSSがムスリムとの対立を打ち出してきたことは本書でも解説されており、実際、今回の選挙戦でもインドの宗教対立再燃を懸念する声が上がっている。2014/05/17

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