中公新書<br> お伊勢参り―江戸庶民の旅と信心

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中公新書
お伊勢参り―江戸庶民の旅と信心

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  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121022066
  • NDC分類 175.8
  • Cコード C1239

内容説明

千三百年以上の歴史をもつ「お伊勢さん」には、今なお全国から参詣客がやってくる。一般庶民の参詣が根付いた江戸時代、路銀いらずのおもてなし文化から、およそ六十年周期で発生した数百万規模の「おかげまいり」まで、日本中の庶民がいかにお伊勢参りに熱狂したかを、様々な史料が浮かび上がらせる。著者自身が、二十五年間にわたって実践したお伊勢参りの記録も収載した。街道の文化を再現する一冊。

目次

第1章 庶民の家出先として?(記録された家出事件;なぜ家出が続いたのか;お伊勢様の変遷)
第2章 江戸時代の庶民のお伊勢参り(井原西鶴が描いた伊勢;どのように民衆に定着したか;遠国からの参宮;『伊勢参宮献立道中記』)
第3章 数百万人のおかげまいり(おかげまいりとは;宝永のおかげまいり;明和のおかげまいり;文政のおかげまいり)
第4章 江戸時代の旅のなぞ(「道中」観の展開;旅人が見たもの;旅の費用はどれくらい;宿屋が果たした役割;街道には、駕篭も馬も)
第5章 歩く旅・現代―お伊勢参りを体験する(江戸時代の旅の復元;伊勢本街道を歩く;街道を歩いたら、人間が見えた)

著者等紹介

鎌田道隆[カマダミチタカ]
1943年(昭和18年)生まれ。立命館大学大学院文学研究科修了。奈良大学助教授、教授などを経て、2002年より奈良大学学長(~08年)。11年度退職。博士(文学)。専攻は日本近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Book & Travel

51
この夏、伊勢神宮に行く予定があり、偶々手に取った本。江戸時代、多くの庶民が訪れたお伊勢参りの実情に、残る日記や記録から迫っている。近畿周辺だけでなく、関東や陸奥など遠国から、神宮のみならず各地の寺社を廻る記録からは、旅が人々の最高の娯楽であったのが伝わってきて楽しい。宿から次の宿へ荷物を送れたり、何百万という参拝者に対応する仕組みがかなり発展していたのも興味深かった。最終章、著者が勤める奈良大学で続けている伊勢参りの再現の話は、街道沿いに住む人々との交流に心温まる。こんな新書に出会えるのも読書の楽しみだ。2018/06/28

かごむし

27
三重県の観光産業に携わる人との話題作りに。内容は、江戸時代の人にとってお伊勢参りとはなんだったのかを考察するものとなっている。それは信仰というものを根底にしながらも、旅をする楽しみ、喜びであった。がんじがらめの日常を、お伊勢参りを口実に飛び出す江戸時代の人たちに親近感がわくし、時代や環境がどうあれ、人が喜びを感じるポイントってそんなに変わらないんだなとも思う。最終章は、著者の勤める奈良大学から学生たちと歩いて伊勢神宮まで行くレポートになっているが、これぞ旅の楽しさであって、要は旅の楽しさを伝えた本である。2017/03/31

すのさん

10
ふらっとお伊勢参りに行っても、戻ってそれを伝えれば許されるという驚き。家の人が急に消えて、それを「もしかして伊勢に行ったのかなあ」と考えているのがとても面白い。お伊勢参りは推奨されるものであり、それを妨害する者には罰が当たると考えられていた。伊勢講と伊勢の御師が重要な役割を果たしていた。伊勢参りと称するが、伊勢の他にも大坂、京、四国にまで足を延ばし、史跡や食べ物を楽しむ。最高の娯楽であったんだなあ。伊勢道中の参拝者を支える、施行ボランティアの人々の温かさ、人情にもしみじみと感じ入る。2020/04/13

もも

7
良い本だったなあ〜。江戸時代の何某が残した道中記から読み解く伊勢参りの実態、奉行所に届けられた記録から見える家出の当然の理由の一つとされた抜け参り。実際に二十数年に渡って行われた実際に奈良から伊勢まで四日かけて歩いてみたことから分かる、農閑期(つまり初春)は歩き始めれば暖かくなるから適しているとか凄く興味深かった。御師の存在は以前読んだ伊勢神宮の本から知っていたが今日TVで知ったことだが、伊勢へ行くのに伊勢講があったように富士山にも富士講があってまた遠方から来る人々をもてなす御師がいたのは面白い。→2018/12/11

T

6
借りた本シリーズ。現代の旅観に近いようで遠いもののような江戸時代のお伊勢参り。仕事や育児の途中に着の身着のままふらっと伊勢神宮に参詣する「ぬけ参り」や超大人数が同時期に押しかける「おかげ参り」など、当時の日記等を中心に丹念に調べ上げられている。多くの人が貧富に関係なく参詣し、したことがないものは憧れるという。その原点は信仰にあるのだろうか?と思ったが、最終章にその答えが。沿道の人々の励ましと真心のこもった施行なくして成立しないことが、江戸時代を再現した徒歩による現代版お伊勢参りが明らかにする。2021/11/16

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