中公新書<br> 学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常

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中公新書
学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常

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  • サイズ 新書判/ページ数 320p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121019554
  • NDC分類 396.9
  • Cコード C1237

出版社内容情報

戦時中、高学歴兵士たちはどれほど過酷な情況を体験したのか。手記や小説などの文献・記録を駆使して、リアルに浮かび上がらせる。

内容説明

戦前の日本で、旧制高校から帝国大学へと進む学生たちは、将来を約束されたひと握りのエリートであった。彼らはある時期まで、軍隊経験をもつ時でさえ、低学歴者にはない優位を与えられた。それが、第二次大戦もたけなわとなる頃から、彼らも過酷な軍隊生活を送らざるを得ない情況となる。本書は、最も「貧乏クジ」を引いた学徒兵世代の恨みと諦めの声を蒐集し、世代と階級を巡る問題を照射するものである。

目次

序章 わだつみが聞いた声―高学歴兵士は何を体験したか
第1章 月給取と腰掛OL―高学歴兵士はなぜ嫌われたか
第2章 エゴイストを撃て―高学歴兵士はどこでつまずいたか
第3章 帰ってきた学徒兵―高学歴兵士はいつ追悼されたか
第4章 エリートの作り方教えます―高学歴兵士はどう教育されたか
第5章 アプレゲールの高学歴兵士―山崎晃嗣という一例

著者等紹介

高田里惠子[タカダリエコ]
1958年(昭和33年)、神奈川県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(ドイツ文学専攻)単位取得満期退学。現在、桃山学院大学経営学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

46
旧制高校大学出身の学徒兵たちの軍隊生活についてを中心に、近代日本の学歴や階級などの意識を浮き彫りにする。進学率が約1%の学歴エリートたちは、第二次大戦の末期では学徒兵として動員されるのだが、一般大衆からみて彼らはやっかみの対象であり、格好の的になった。また日本特有の社会構造や旧制高校の意味合いなどが論じられる。  豊富な言説・引用をつかい語るスタイルのため、主張のニュアンスがいまいち曖昧に感じるところがあるがなかなか細かな話が多く楽しめた。この著者の前作『文学部をめぐる病い』のスピンオフしたテーマの本。2016/02/11

yamatoshiuruhashi

39
副題「高学歴兵士たちの憂鬱な日常」となっている通りに、大日本帝国陸海軍(特に陸軍)の中で高学歴兵士たちが如何に異質な存在であり、そのことが彼らをどう自己規定させたか、と言うことが主題なのかな?「高学歴」として当然に旧制の高等専門学校や私立大学も含めてはいるが、結局、話題は旧制ナンバー高等学校、就中、一高・東京帝大の話題に集中する。膨大なあらゆる方面の資料を集めて高学歴の本人、周囲の当事者たちの証言を集めているのだが、結局同じ淵を堂々巡りしている感じ。良く調べて書かれているが、私自身も良く読んだと褒めたい。2019/04/12

きいち

31
向こう傷を怖れない闘争的な一冊。学徒兵の手記を読む、その限界も見る以上揶揄的な表現にもなる、それでも嫌らしくなく読めるのは、「わだつみ」の側も靖国の側もエリートも大衆も等しく攻撃していて、筆者のほうに退路などない思いきりが感じらあれるからかも。高等教育の大衆化を嘆く元学徒兵に、ノブレス・オブリージュなんて自分で言うもんちゃう、人から認められるもんや、そんな毒づきはこの姿勢ならでは。◇それでも、学校もまた軍隊も、格差を固定させない価値あるシステムだったことは忘れちゃいかん。コミュ力よりずっと分かりやすいし。2014/12/30

Michael S.

9
東大助教授の丸山眞男が、二等兵で召集され小学校卒の一等兵にいびられた話が有名だが、西欧では、高学歴者が兵卒とされる例は稀で、民間での地位が軍隊での階級や職責に対応していることが多い。この本では”不幸の均てん化”とも表現された日本の徴兵制(特に戦局悪化後)に直面した高学歴エリートたちの回想録や証言から、公平とは何なのか、人間の嫉妬や悪意はどこからくるのか?を考えるきっかけとなる。私事だが 母が(兵隊は文科から先に取られる。お前は、理科へ進め。)と大真面目に言っていたことを思い出す。昭和50年代の話である。 2018/06/19

うえ

9
「ドイツの歴史学者ハンス・モムゼンは第一次大戦後のワイマール共和国時代を、世代対立が異様に激化した時代と捉えて「世代」を次のように定義し、世代論の曖昧さを避けようとしている。すなわち「世代」とは、「その主観的アイデンティティが、年長の人びとに対する対抗意識、父親世代に対する対抗意識によって形成されている集団である」と…「個人的な世代間抗争が社会全体にとって重大な意味を有する緊張状態へと凝縮されていくのが常である」とモムゼンは言う。ドイツ人にとって第一次大戦がそのような「革命的断絶」であったわけだ」2018/02/05

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