中公新書
フォト・リテラシー―報道写真と読む倫理

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121019462
  • NDC分類 070.17
  • Cコード C1272

出版社内容情報

報道写真は真実を写しているのだろうか。われわれは何を読み取ればいいのか。作り手だけでなく、見る側の力を問い直す刺激的論考。

内容説明

現代社会で日々生まれ、流通し続ける報道写真。一見しただけで見尽くしたような気になり、曖昧な記憶の底に沈んでしまうことも多いだろう。しかしそれらは、写真家のどんな意図で撮影され、誰によって加工され、どのように編集・流布されたのだろうか。本書は、写真の「読み方」を問い直す試みである。作り手の立場だけでなく、見る側の力が問われている今、世界と時代とを思考するための新しい必読書が誕生した。

目次

1 写真は真実か?(決定的瞬間という罠;一枚の写真から;フォトジャーナリズムの成立―両大戦間パリの事例から;写真における「現実」)
2 写真の流通現場(組写真の時代;写真集という物語)
3 読む倫理のために(写真と異文化表象;写真は世界を救うか;ニヒリズムを遠く離れて)

著者等紹介

今橋映子[イマハシエイコ]
1961(昭和36)年、東京都生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科比較文学・比較文化専攻博士課程修了。筑波大学文芸言語学系専任講師を経て、東京大学大学院総合文化研究科准教授。学術博士。著書:『異都憧憬 日本人のパリ』(柏書房、1993年/平凡社ライブラリー、2001年、サントリー学芸賞、渋沢クローデル特別賞)、『“パリ写真”の世紀』(白水社、2003年、重森弘淹写真評論賞、島田謹二記念学藝賞、日本写真協会賞学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

50
パリ論の研究者による写真史/写真論。写真ほど迫真をもって訴えてくるメディアはあるまい。しかし報道写真は、その起源から「芸術」と「真実」の間を揺れ動いてきた。フォト・ジャーナリストのカルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」が誤訳であって、「演出」や「トリミング」の拒否は神話に過ぎなかったことから始まり、ショアー(=ホロコースト)における写真による証言を巡る論争に至るまで、さまざまな具体的な作品に即して(掲載写真約80葉)、「写真は真実を写せるのか」「写真は現実を変えられるか」をしつこいほど問う。↓ 2014/12/21

swshght

7
良書。本書は一貫して「写真は真実か」という命題のもとに語られている。筆者はまず「フォト・リテラシー」という概念を提唱し、撮る側と見る側の双方から写真における倫理を問い直す。「撮る」と「見る」を繋ぐ中間への指摘も揺るぎない。つまり「撮影」「編集」「読解」の共犯関係。写真は世界をありのままに表象しない。「撮る」から「見る」への過程のなかで、意味の付与や隠蔽や歪曲がなされる。そこから現実の表象不可能性とナラティヴィテの問題が浮上してくる。写真は世界と時代を読み解くうえでどこまで有効なのか。深く考えさせられた。2013/10/26

yo_c1973111

2
撮る側、流通する側、展示する側、そして視る側のリテラシーを20世紀作例を中心に検討するものでとても意義深い。「パリ写真の世紀」からの新書として購入しやすいんのだがすでに廃刊か(!?)...著者は仏比較文化研究を専門とするが、著作の多い国内写真研究者よりも研究深度と慧眼に感心する。「パリ写真~」も廃刊でもったいない。すでに展覧会は終了しているがゲルハルト・リヒター「ビルケナウ」への理解、見かたにも役立ちそうだ。2023/08/02

zk

2
良い本ですよ!これは2020/02/27

bittersweet symphony

2
著者はパリをテーマとした写真についての評論を本職とする方のようです。この本でもパリを被写体としていた写真家・写真についての記述のウェイトがかなり高い印象です。難点なのはそれがフォト・リテラシーに関する議論を深める方向にはほとんど働いていないところで、何ゆえこのタイトル・テーマで本を書こうとしたのかは不明です。後半はセバスチャン・サルガド作品を軸とした報道写真論なのですが、基本的には著者曰く報道性と芸術性を両立しているとみえる現代のドキュメンタリー・フォトに対する批評性は限りなく薄いものになっています。2008/10/19

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