中公新書
企業福祉の終焉―格差の時代にどう対応すべきか

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  • サイズ 新書判/ページ数 202p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017956
  • NDC分類 336.48
  • Cコード C1236

出版社内容情報

長引く不況により、社宅や企業年金の廃止、退職金の賃金払いなど企業福祉は大きく変化しつつある。安全・安心な生活を支えるための方策とは。

内容説明

日本の企業は、退職金、社宅、企業年金、医療保険や公的年金といった社会保険料の負担など、従業員にさまざまな福祉を提供してきた。しかし、会社の規模によって従実度が異なったり、正社員と非正社員で利用資格に差があるなど、企業福祉が国民の不平等感を高めているのも事実である。本書では、企業が福祉から撤退してよいと主張し、企業福祉に代わり、国民全員が充実した福祉を享受するための方策を提言する。

目次

第1章 企業福祉はなぜ発展したか(企業福祉の歴史;先進資本主義国での歩み ほか)
第2章 企業福祉の現状(企業は何を提供してきたか;世界各国との比較からみた日本の特色 ほか)
第3章 企業福祉は役立っているか(企業福祉の効果;企業福祉制度は役割を終えた ほか)
第4章 これからの企業福祉(労働者と企業はベネフィットを受けているか;誰が福祉を提供すべきか ほか)
第5章 企業が撤退した後の福祉社会(それでも企業が福祉に関与すべきなのか;新しい時代の福祉の下での社会・経済)

著者等紹介

橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年(昭和18年)、兵庫県に生まれる。小樽商科大学商学部卒業。大阪大学大学院経済学研究科修士課程修了。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学経済研究所教授などを経て、京都大学大学院経済学研究科教授、経済産業研究所研究主幹、男女共同参画会議議員、日本経済学会会長(2005年度)。専攻、労働経済学、公共経済学。著書に『個人貯蓄とライフサイクル』(共著、日本経済新聞社、日経・経済図書文化賞受賞)、『日本の経済格差』(岩波新書、エコノミスト賞受賞)、『家計からみる日本経済』(岩波新書、石橋湛山賞受賞)など
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シュラフ

23
求められる福利厚生というのは時代背景がある。ドイツのビスマルク時代の社会保険政策は英国への対抗から労働者の長時間労働を求めるためのもの、戦後日本の住宅難や食料難においては社宅や食堂の完備が労働者に喜ばれた。そして家族形態が大家族から夫婦・子どもになるとベネッセコーポレーションの働く女性社員への育児支援が評価される。これらは福祉の目的である働く意欲への向上をもたらして、労使ともにメリットがあった。だからこれからの福利厚生を考えるためには、これからの社会がどう変わっていくのかということを考えなければならない。2015/10/22

えちぜんや よーた

3
日本では、法定内福利(雇用保険料、社会保険料)が、なぜ5:5の労使折半負担になっているのか、 その所以が分かります。外国では必ずしも労使折半になっているとは限らず、 労使7:3であったり場合もあるみたいです。台湾にいたっては職種ごとに負担割合がかなり異なるみたいです。

bittersweet symphony

1
家庭レベルの事象から日本経済を分析する手法を得意とする著者による企業福祉全廃の提言を含んだ作品です。現状の健康保険・厚生年金等が企業の負担に多くを負っている状況が、格差の拡大に寄与している点も踏まえて、福利厚生の平等性を確保するために消費税を財源とした一元化された北欧的な制度を提案しているのですが、この辺の論点は大いに納得できるものでした。しかしながら、歴史的な経緯も含めて分析されている通り現行の制度の抜本的な改革はなかなか難しいでしょう。それこそ郵政民営化なんぞよりはるかに難事業ですね。2006/06/17

プラタイブット

0
結論には賛成だが、その世の中はまだまだ遠そうである。本書が書かれて15年以上経ち、平均賃金の下落、企業の福利厚生もさらに薄くなった今、著者はどのように感じているのだろうか。2022/04/06

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