中公新書
働くということ―グローバル化と労働の新しい意味

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  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017932
  • NDC分類 366
  • Cコード C1236

出版社内容情報

グローバル化が進む世界で、雇用や賃金の不平等が急速に拡大しつつある。労働にとって公正とは何か。

内容説明

二〇世紀の終わりまでに、私たちはみな週五時間程度だけ働くようになっているだろう―。ケインズの八〇年前の予言は見事に外れた。先進諸国でも、経済競争力強化を理由に労働時間の短縮は進んでいない。グローバリゼーションが加速する中、所得の格差も急速に拡がりつつある。雇用機会や賃金において拡大する不平等に歯止めはかかるのか。半世紀にわたって「働くということ」の意味を問いつづけてきた思索の到達点。

目次

第1章 労働の苦しみと喜び(あなたの不安が私の平和を脅かす;グローバリゼーション ほか)
第2章 職場における競争の激化(効率は市場競争から;成果主義 ほか)
第3章 柔軟性(イギリスの一つの誇り;労働市場の柔軟性 ほか)
第4章 社会的変化の方向性(何が公正か;力の次元 ほか)
第5章 市場のグローバル化と資本主義の多様性(逆転の可能性;標準を押し付けること ほか)

著者等紹介

ドーア,ロナルド[ドーア,ロナルド][Dore,Ronald P.]
1925年、イギリスに生まれる。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業。戦時中、日本語を学び、1950年、江戸教育の研究のため東京大学に留学。カナダ、イギリス、アメリカの大学の社会学部や政治学部教授を経て、ロンドン大学LSEフェロー

石塚雅彦[イシズカマサヒコ]
1940年、東京に生まれる。国際基督教大学、コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクール卒業。日本経済新聞社に入社し、英文日経編集長、香港支局長、論説委員など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ビイーン

22
イギリス人の著者から見た雇用環境問題本。本書が発行されてから10以上が経ったが、社会環境はますます先が見えない状況となった。著者はラストで中国の未来について予言めいた考察をする。ひょっとしたら今世紀中にアメリカの覇権が終わる瞬間が見られるかもしれないと思いつつ、今起こっているアメリカと中国の経済戦争の行方が気がかりだ。2018/10/14

はなよ

21
 前半の二章は題名どおりの内容でまだ分かりやすい。ただ、労働市場の柔軟性を説く三章からは一気に難しくなる。私は社会学についてはほぼ無知なので、意味が分からなくてもとにかく読み進めるような状態だった。ただ、労働者のやる気を奮い立たせる事しか考えていない自己啓発本より、一歩引いた目線から労働市場を分析するこの本の方が公正であるという事はかろうじて理解できた。著者は外国の方だけど日本に滞在している期間が長く、日本企業の実情についても詳しい。かといって日本人著者のように偏った視点から労働市場を(続く2018/07/09

魚京童!

11
私は何をしたいのだろうか?2018/05/07

おらひらお

6
2005年初版。ながら読みできない一冊ですが、線を引きつつ読了。結構考察が多く、これから僕等下々の労働環境が大きく変化する可能性を指摘した本です。貪欲さは可か。否か・・・。2012/09/20

富士さん

5
学部時代に読んで感動したのですが、再読しても名著でした。戦争によって弾みをつけられた大規模で平等指向の社会が、経済的な成熟と成長の鈍化によって成果を主張する個人主義の社会へと変化して行った過程が明快に描かれ、わずかな紙幅にもかかわらず、なぜ今の日本の労働環境がこうなったのかを説明するのにも必須の情報が詰まっています。しかし、”成果”なるものはマッチポンプであり、”有益”な労働とは正義の観念の一種であって、時代の価値観への順応以上ではありえないという、諦観と革命性が労働社会学らしい本書の魅力だと思います。2019/10/25

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