中公新書<br> ODA(政府開発援助)―日本に何ができるか

電子版価格
¥814
  • 電書あり

中公新書
ODA(政府開発援助)―日本に何ができるか

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 205p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017277
  • NDC分類 333.8
  • Cコード C1233

内容説明

ODA(政府開発援助)は、日本の対外援助の主力として、一九九三年以降世界最大規模の支出額を誇ったが、国民の不信と批判にさらされ、大幅な削減を余儀なくされている。一方、欧米諸国は同時多発テロ以降、貧困をなくす手段としてむしろODAを重視する傾向にある。開発途上国側の課題が多様化したいま、ODAはどうあるべきか。現状と課題を平易に解説しながら、日本が国際社会のなかで果たすべき役割を考察する。

目次

プロローグ 危機の時代のODA
第1章 ODAの国際比較―日本型ODAと理念
第2章 変容する世界戦略
第3章 開発途上国の多様化する課題
第4章 ODA批判の論点
第5章 東アジアの発展とODA
第6章 日本は何を実現すべきか

著者等紹介

渡辺利夫[ワタナベトシオ]
1939年(昭和14年)、山梨県に生まれる。慶応義塾大学大学院博士課程修了。経済学博士。拓殖大学国際開発学部教授。同学部長。東京工業大学名誉教授。著書に『成長のアジア 停滞のアジア』(東洋経済新報社、1985年、吉野作造賞)、『神経症の時代』(TBSブリタニカ、1996年、開高健賞正賞)など

三浦有史[ミウラユウジ]
1964年(昭和39年)、島根県に生まれる。早稲田大学社会科学部卒業後、日本貿易振興会(JETRO)を経て、日本総合研究所環太平洋研究センター主任研究員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヤギ郎

12
定性的・定量的に日本のODA(政府開発援助)を分析した新書。論文のような書き口で丁寧な分析がされている。2003年に出版されているが、近年の状況を踏まえているといえよう。複雑なODA政策を、図表を用いて分かりやすく解説している。ODA批判について、筆者らは評価方法に着目している。今後は、ハード(インフラなど)に対する支援から「知的支援」へ移行しながら、独自性のあるプログラムを展開することが求められる。世界情勢が変化している中で、ODA分野において日本がリーダーシップを発揮できる場面も少なくないだろう。2020/11/16

牛タン

2
日本のODAは世界の主流(世銀)とは違うけど、そんなに悪くないよ、という本。特徴は東アジア重視ゆえの高い借款比率とインフラ重視、かつ援助より開発の色が濃い点。一方、世銀はバーンサイド=ドラーの分析に拠ったガバナンス重視の方針で、かつ開発より援助寄り。でも、世銀の言うガバナンスとGDPの伸びの相関は怪しいし、東アジアの開放経済の中で日本独自のODAは地域の経済発展に貢献したよと主張。ただし今後ODA額が減って行く中、インフラ建設を中心とし続けるのは難しい。民間投資を呼び込む触媒的なODAを目指すべきと結ぶ。2018/03/23

フェイ

2
ODAについて書かれた本。ODAとは何か。ODAの問題点とは何か。それらはどのように解決されているのか(べきなのか)を簡単に説明している。 内容としては、概ね、現在までのODAの流れをある程度評価しつつ、ODAを今後とも有効に活用するべきだと説く。ODAのよくある批判(対中ODAは止めるべき、腐敗・人権抑圧国家への援助は止めるべき、借款ではなく贈与すべき等)についての回答も一通り記載されているので、ODAに問題があると思うなら一読すると良い。2016/05/07

taming_sfc

2
渡辺利夫先生と三浦有史先生による2003年の共著。ODAに関する基礎的知識から解きほぐし、日本国の援助疲れ、そしてそもそもODAが何故に必要であるのか、国家による援助としてのODAの特性について、新書にしては多くのデータと政府関係資料を基に描き出す。本書で特に特筆すべき主張は、開発援助と相手国ガバナンスに関する記述であり、途上国にグッド・ガバナンスを強要するODAのあり方に対し、かなり冷静に批判的考察を加えているところは必読である。また、対中ODA批判に関する記述は、未だ今日的意味を有しているといえる。2010/10/15

ゆき

1
巻末にある筆者の少年期のエピソードがこの本の根底にあるのだろう。なんのための援助なのか。大切なことは何なのか。ほどこしか、経済か、外交か。どの主張に立っても他の主張への批判が可能なことに、ODAの複雑さが見て取れる。本書で語られるように、日本のODAには他国とは違った特色がある。それを温め未来の繁栄に繋げて行くことが、国際社会における日本の役割なのではないだろうか。2015/11/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/105687
  • ご注意事項