内容説明
ここ十年の生命科学は、遺伝子の研究を中心に進んできた。ゲノム・プロジェクトをはじめ、病気の治療、クローン技術、犯罪捜査など、多面的な展開を見せている。ただ、遺伝子はいわばシナリオにすぎず、実際に機能する役者はタンパク質なのである。単に栄養素として必要なだけでなく、酵素として生体内の化学反応を進めるなど、あらゆる生命現象に関わるタンパク質を、すべての面から理解することをめざす、平易な入門書。
目次
第1章 タンパク質とはどのようなものか(タンパク質の造り;タンパク質の姿;生物のからだを形作るタンパク質;酵素として働くタンパク質)
第2章 タンパク質と遺伝子(タンパク質と遺伝子の関わり;遺伝子の働き方;タンパク質はどのようにして作られるか)
第3章 タンパク質と生命(タンパク質は遺伝子とともに進化してきた;タンパク質と病気;タンパク質と遺伝子工学)
著者等紹介
池内俊彦[イケウチトシヒコ]
1947年(昭和22年)神戸市に生まれる。京都大学理学部化学科卒業。同大大学院理学研究科博士課程(京都大学ウイルス研究所)修了。1975年、理学博士。大阪大学蛋白質研究所助教授を経て、現在、関西大学工学部教授
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感想・レビュー
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さきん
24
タンパク質の構造と機能、役割を丁寧に解説。タンパク質に関わる知識を俯瞰できる。遺伝とアミノ酸、有機化学の知識が前提として必要。というのも、図、グラフは白黒の化学構造を示したものばかり。内容は教科書のように簡明で分かりやすいが、これを新書にするよりは、カラー写真など織り交ぜて大判にした方が、より分かりやすいと思った。2021/10/06
Hiroshi
7
タンパク質について、その構造と機能から始まり、遺伝子との関係、生命との関係まで見ていく本。たった2百頁強で進化論、遺伝子治療まで纏めて書かれている。アミノ酸は炭素原子に水素原子・アミノ基・カルボキシル基・側鎖が付いたもの。タンパク質はアミノ酸の鎖状物質。アミノ酸配列、折りたたまれ方、三次元構造、複数からなるタンパク質により個々の特徴が生じる。電子の共有の共有結合、電気的なイオン結合、疎水性アミノ酸残基が集合しようとして生じる疎水結合、原子間引力であるファンデルワース力による結合等がタンパク質の姿を支える。2022/01/28
Lee Dragon
2
割とした知識があった方が頭が入りやすい気がする。 説明はあるが、用語が多いから。2014/07/29
staygold02
1
今でこそ当たり前になっているポストゲノム、エピゲノムの世界が開いた直後に書かれた一冊。新書なだけあって一歩引いた、概念的な所で説明を加えているが、世界全体を知るのにはちょうど良い一冊。生化学もわかりやすく説明されていて、基礎系に入った学生にはちょうど良いのでは?2012/12/02