出版社内容情報
シエナ、この世界にもまれな美しい都市はどのようにして誕生したのか。中世のシエナは、北ヨーロッパとローマを結ぶ街道の要衝を占め、経済的繁栄を謳歌する。蓄積された富は、白鳥のようなゴシック・カテドラルをはじめ、豪奢な建築や魅力あふれる広場・街路に姿を変えた。トスカーナの自然と人間の叡智が出あい、美しく結晶した「聖母マリアの街」を、時空を自在に横断しながら案内する。見どころやグルメのガイド付き。
内容説明
シエナ、この世界にもまれな美しい都市はどのようにして誕生したのか。中世のシエナは、北ヨーロッパとローマを結ぶ街道の要衝を占め、経済的繁栄を謳歌する。蓄積された富は、白鳥のようなゴシック・カテドラルをはじめ、豪奢な建築や魅力あふれる広場・街路に姿を変えた。トスカーナの自然と人間の叡智が出あい、美しく結晶した「聖母マリアの町」を、時空を自在に横断しながら案内する。見どころやグルメのガイド付き。
目次
第１章 自然の力と人間の匠
第２章 都市の宇宙空間
第３章 コントラーダ―シエナ社会の細胞
第４章 芸術のリリシズムと誇大妄想
第５章 神秘か邪教か
第６章 悦楽のトポス
著者等紹介
池上俊一［イケガミシュンイチ］
１９５６年（昭和３１年）、愛知県に生まれる。東京大学文学部卒業。同大大学院人文科学研究科博士課程中退。フランス国立社会科学高等研究院（ＥＨＥＳＳ）留学。横浜国立大学助教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授
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感想・レビュー
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アキ
94
フィレンツェの南、トスカーナの緑の丘陵に聳え立つマンジャの塔とカンポ広場。およそ700年前の1260年モンタペルティとの戦いから最盛期を迎えた街の姿を今に残す街。その歴史と芸術を思い入れを込めて紹介している。わずか数時間で過ぎ去る観光客には決して知ることのない建築物、食べ物、シエナ派絵画の数々。シエナの土色、聖母の街、ゴシック都市、熱狂的なパリオ、エトルリア文化の異教的伝統、パンフォルテ・マルゲリータの由来、教皇ピウス２世、メディチ要塞のワインなど、フィレンツェと対照的な都市の成り立ちを知ることができた。2022/07/20
Nat
39
図書館本。イタリアは素敵な街が多すぎる！嬉しい悲鳴。行きたい所に全部行ける日が来るだろうか？無理な気がする。フィレンツェに気を取られ、あまり注目していなかったシエナだけれど、この本を読んで、ここにも行きたいなと思った。今も残る中世の雰囲気を味わってみたい。20年以上前の本だが、現在もパリオは続いているようなので、少し安心した。それからナッツ好きの私なので、アーモンドやヘーゼルナッツがふんだんに入ったパンフォルテを是非食べてみたい！2022/09/03
mahiro
11
シエナ、名前は知っていた中世都市、歴史や地形的立地美術など著者のシエナに対する愛情が伝わって来る。イタリアの都市でも南方のナポリなどと何と雰囲気が違うのだろう。混沌と熱を感じるナポリに比べてシエナは端然と佇む静けさを感じる。シエナを囲む美しい丘陵地はかつて不毛の石灰岩地だった、水利に苦心し土地を改良した人々が作ったのがシエナ、都市間の抗争やペストの猖獗で力は失ってしまったが南方的ゴシックの美の残るこの街もいつか訪れて見たい。2018/02/18
wei xian tiang
4
廃された習慣だが、シエナにかつてあったという祝祭での老女擬似拷問が気になる。広場で修道女を虐待嘲笑し、クライマックスで修道院の戸が開き観衆に菓子が供されたという。人身供儀の名残か、マリンド・アニム族のあの祭のような豊穣性の象徴としての女性と発芽・稔果を促す刺激を表しているのか。若しくは単純な、トリックオアトリート的なものなのか。2014/12/24
ユーディット
3
イタリアや西洋美術に関して認知させるのに貢献されている著者だから、描きなれている。高級なシエナのガイドブックと言うのだろうか。歴史、美術、風俗、食について言及されている。一般向けにしたら大変詳細で論文的な内容があったと思えば、論文ではありえない感情的情緒的な表現と論述。思考形成に自然環境が及ぼす影響については、私も以前からそう思っていたので賛同したい。が、あまりにシエナを褒め称えていて、知らない人が読んだらシエナだけのことのように思うだろうが実は他都市にも当てはまると思われる部分は多くあった。2017/05/07
