中公新書<br> 社会変動の中の福祉国家―家族の失敗と国家の新しい機能

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中公新書
社会変動の中の福祉国家―家族の失敗と国家の新しい機能

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  • サイズ 新書判/ページ数 266p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121016003
  • NDC分類 364
  • Cコード C1236

内容説明

高齢化、少子化、そして女性の社会進出によって、家族に揺らぎが生じている。失われた家族の機能を代行しうるものとしては、地域社会やNPOとともに、やはり国家が不可欠である。本書は社会構造の多元性を確認しつつ、福祉、環境、社会資本を統合的にとらえる「総合的福祉国家政策」を提唱。社会的市場経済のドイツやコーポラティズムのスウェーデンなどの事例を参照しながら、日本の伝統を生かした福祉政策を考察する。

目次

第1章 理論的前提―近代産業社会の構造と機能
第2章 家族と国家の関係―福祉国家はなぜ維持される必要があるか
第3章 福祉国家の形成―起点から最盛期まで
第4章 福祉国家の「危機」への対応―福祉国家の諸類型
第5章 日本における福祉国家形成―世界におけるその位置

著者等紹介

富永健一[トミナガケンイチ]
1931(昭和6)年、東京に生まれる。東京大学文学部社会学科卒業、同大学院修了。社会学博士。東京大学教授、慶応義塾大学教授を経て、武蔵工業大学教授、東京大学名誉教授。専攻、社会学理論、社会変動・近代化、社会階層、経済社会学、組織理論
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感想・レビュー

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Mealla0v0

4
本書の要諦は、家族が福祉機能を喪失した(家族の失敗)ために現在の国家はその機能を代替する必要が要請され福祉国家化している、というものだ。伝統社会の近代化によって大家族は解体され、産業社会の近代化(反省的近代化)の現在には核家族が解体されており、家族の福祉機能は失われた。社会権の思想が登場し、福祉国家として制度化されていく。その際の福祉国家のモデル・起源は複数あり、一般にリベラル型・保守主義型・社会民主主義型と分類されるが、日本は官僚主導の近代化が進展してきた歴史があり、福祉「国家」は実は親和的だった。2022/02/08

スズツキ

4
大雑把に言えば北欧にみられる平等主義的なリベラル国家の分析。著者はかつて世代間互酬を担っていた家父長制が解体した現代の日本でそれを国家が代替わりすることを期待する。平等志向のリベラルとしては筋が通っているが、果たして強権性を伴うそれに理解が得られるかが論点だろうか。中盤からかなり複雑で立ち入った考察になり、少し忍耐が必要。2016/09/05

悠木

3
積年の積読本解消プロジェクト。読み込めなくてもいいからとにかく消化していくことが目標。家族機能の喪失により家族の中に国家が介入することが求められてきている。介護保険制度の導入もその文脈で語ることができる。しかし、子育て政策が上手くいっていないのはなぜなのか。20年以上前に出版された本なので仕方がないがそこに踏み込んで欲しかった。2022/08/28

脳疣沼

2
かなり勉強になったが、今ひとつ分からなかったのは、介護サービスと市場原理は馴染まない、という主張である。そういえばそんな事件あったなあというコムスンの例を引き合いに、市場原理批判をしているのだが、どうも納得いかない。あと、日本では特に重要な財政の問題が抜け落ちている。2016/01/26

うりぼう

2
家族の失敗って、どうなんだろう。2009/02/25

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