内容説明
本の文化は地球の知的環境を根底から変えた。しかし、それを支えてきたグーテンベルクの印刷革命が、新たな革命によって乗り越えられようとしている。デジタル技術の発展が、本の価値をラディカルに相対化しつつあるのだ。膨大な文書を回遊するハイパーテクスト技術がいかなる発想で生まれ、電子ペーパーや仮想現実、着装型コンピュータなどの最新技術とどのように交錯しているかをたどり、本を超える記憶装置のかたちを探る。
目次
1 本の未来を指し示すもの
2 本はいかにして消耗品になったか?
3 野生のなかのハイパーテキスト
4 メディアの呪縛を超えて
5 未来のメディア
6 知覚と感覚のデジタル操作
7 新たな記憶技術の時代へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
43
2000年に出版された本。すでに隔世の感がある。ここ十数年のテクノロジーの進化がすさまじい速度であるということだろう。2016/07/29
takao
2
ふむ2024/01/15
Hiroki Nishizumi
2
グーテンベルク文化という発想が自分には欠けていた。その視点は感心した。未来についてはよく分からなかった。2016/04/06
カイ
1
20年前(2000年)の本です。ディスプレイの読みづらさを示す例として、長文の電子メールは紙に印刷して読む人が多く、職場にコンピューターが導入されて紙の消費量が減るどころか、むしろ40%増えた、とありました。僕がディスプレイで読書を始めたのは10年ほど前で、紙と変わらないと思っていました。(解像度はフルHD)。どうやらディスプレイも着実に進化しているようですね。2020/02/20
るる
1
本の本は、大抵が「本最高!」というけれど、この本は違う。本は文化の産物でありながら、活版印刷が生まれたことによって大衆化=レベルダウンの歴史を背負うことになってしまったという。そこからインターネットやデジタルの力がどうやって未来に関わってくるかを語っている。16年前の本なので、語られた未来が現実になっているかもしれないし、別の道を歩んでいるかもしれない。 未来はいきなりやってくるわけではない。現在の変貌の延長にしかないし、その萌芽は過去に眠っているはずだ。そう言って歴史を学ぶ姿は見習うべきものだと思う。2016/10/03