中公新書<br> 漢奸裁判―対日協力者を襲った運命

中公新書
漢奸裁判―対日協力者を襲った運命

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  • サイズ 新書判/ページ数 285p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121015440
  • NDC分類 222.075
  • Cコード C1221

内容説明

1937年7月、盧溝橋事件の拡大で日中全面戦争が始まる。両国ともに宣戦布告を行わず、国交関係を維持したため、戦争当初から様々な和平工作が展開された。「親日派政権」樹立をもくろむ日本側は、国民政府ナンバー2の汪兆銘に働きかけ、40年、国民政府へと誘導した。しかし日本の敗戦は、大量の売国奴=漢奸を生み出すことになる。傀儡政権関係者の裁判記録を緻密にたどり、中国人の歴史観に迫る野心作。

目次

第1章 謀略
第2章 「漢奸」への道
第3章 「漢奸」の価値
第4章 南京政府の終戦
第5章 「党は分裂すべからず」
第6章 蒋介石の判断
第7章 「主戦」と「主和」―さまざまな「漢奸裁判」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

19
再読。本書が汪兆銘や周仏海ら「漢奸」を通して見出すのが、中国文化に内在している「主和」に対する厳しい見方である。秦檜、李鴻章、そこに連なる者として汪兆銘を挙げる(p.264)近年、中国でも「妥協=投降=売国」の図式に疑問を呈する学者も見られるようになってきているという。本書の刊行から20年あまりが経つが、「主和に対する厳しい見方」がどのように変化していったのか。汪兆銘への評価は一つの指標になるだろう。2022/11/16

崩紫サロメ

18
日中戦争中の対日協力のため「漢奸」として裁かれた人々、また裁かれる前に亡くなった汪兆銘について扱う。漢奸裁判の記録を見ると、必ずしもどこまで日本に協力したかで生死が決っているわけでもなく蒋介石との関係が決定要因として重要なものになっている。重慶政府と南京政府との頻繁な連絡は蒋介石にとって公にされたくないものであり、「殺人滅口」的な性格を指摘する中国の学者もいる(張雲『汪精衛漢奸政権的興亡』) 2020/07/20

筑紫の國造

14
汪兆銘ら、いわゆる「漢奸」とされた人物達に焦点を当てた研究。なぜ彼らは日本との和平を選び、どのような理由で「漢奸」とされてしまったのか、を日中双方の史料から探っている本書は、近代の日中関係史を探る上で貴重な成果と言える。汪兆銘ら日本との和平を策した人々の内情も興味深い。彼らは、一枚岩ではなかった。決して読みやすい本とは言えないので人を選ぶが、日中近代史に興味がある人は是非読んでおいた方がいい。2017/05/08

高木正雄

5
前半部分は汪兆銘工作から日本敗戦までの間、重慶・南京・東京の謀略、工作について中国側を中心とした書かれている。戦後の裁判は南京政府の閣僚級や軍人も紹介されると期待していたが、陳公博と周仏海を中心に見ている。重慶も南京もしたたかな人が多かったようだ。2023/12/04

兵衛介

4
王兆銘政権研究に欠かせない一冊。李士群は日本軍ではなく周仏海によって毒殺されたのか。2009/03/20

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