内容説明
画期的技術が登場するたび、われわれのライフスタイルは劇的に変化してきた。近頃ではコンピュータ・ネットワークが急速に普及している。しかし生活変化が技術革新をもたらす側面を見落とすべきではない。ライフスタイルと技術との相互作用的な変化を捉えつつ、旧メディア時代からの流れを踏まえ、メディア上の交流がどういう必然性から導き出されたのかを分析することによって、人間関係と情報産業市場の方向性がみえてくる。
目次
第1章 ネットワークの実像(擬似イベントとしてのネットワーク;ネットワークが提供する機能)
第2章 メディア産業とネットワーク(送り手・受け手の関係;複製技術としてのネットワーク ほか)
第3章 バーチャル・コミュニティの過去・現在(ネットワーク上の“電子コミュニティ”;雑誌媒体を舞台にした論争や交流 ほか)
第4章 ネットワーク上に見られる現象(「素顔」が見えないがゆえの現象―解放感とフェイク;視線の非対称性ゆえの現象―監視社会 ほか)
第5章 コミュニケーションの原理(“仮想社会”と“現実社会”;実時間を共有しないコミュニケーションのゆらぎ ほか)
第6章 ネットワークというコミュニケーション革命(「オンライン」社会と「ネットワーク型」社会;ネットワーク社会のそれぞれのシナリオ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
13
本筋の話より、80年代から90年代にかけてのコミュニケーションツールについての話が面白かった。私はポケベルというものを結局持つことがなかったので、「ベル友」なる用語があったのは知らなかった。2013/02/08
びーちゃん
1
人と人とが関わる方法は時代とともに変化しつつも,人と人とが関わること自体は変化することがない。人は孤独に耐えられないのだと思う。評価32011/05/02
るい
1
今読むと、どうしても「古い」と感じてしまう。けれども、この本が書かれた2000年近辺、コンピュータ・ネットワークが普及することで生まれるであろう新たな現象や問題の考察は非常に鋭く、よくまとめて書いてあると思った。2010/12/23
茶幸才斎
1
インターネットは、90年代に全く唐突に普及したのではなく、従来のコミュニケーションメディアによって培われていた社会的素地の延長線上に登場した、という立場から、主に従来メディアとの比較によって、ネットワーク社会の今日的(というか当時的)立ち現われ方について解説している。もちろん主題はネットワーク社会なのだが、むしろ、既存メディアにはどんな特徴がありどんな現象を生み出していたかを再確認させてくれて、たいへん面白かった。2010/02/21
pddk
1
何度か出てくる「ネットワークだけで見られる現象ではない」ということを肝に命じよう。詳しくて面白い。2009/05/08