内容説明
メキシコとの直接通商交渉を名目に伊達政宗により派遣された慶長遣欧使節には、スペインとの同盟締結という裏の使命が秘められていた。だが、訪問先の対応は、キリスト教弾圧国からの厄介者の扱いだった。使命を果すべく七年余に及ぶ異郷での辛苦に耐えた、支倉らの努力も実ることはなかった。帰国後もキリシタン禁令の下で、報いられることなく悲惨な逼塞を強いられた遣欧使節とは何だったのか。支倉常長の生涯に真相を探る。
目次
序章 江戸幕府初期、ヨーロッパ人は日本をどう見ていたのか
第1章 伊達政宗はなぜ遣欧使節を送ったのか
第2章 メキシコでの使節一行
第3章 使節一行のスペインでの出来事
第4章 栄光のローマ滞在
第5章 使節一行の帰路
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
21
歴史の教科書に登場する支倉常長。名前は知っていたものの詳細を知りたくてチョイスしました。メキシコとの直接通商交渉を名目に伊達政宗により使節団として派遣されたが、実はスペインとの同盟締結の裏の使命があった。当時の航海は「死なないで着けば幸運」と言われたくらい命懸けで、使命を果たすべく7年余りに及ぶ異郷での辛苦に耐えたが努力は実らず、帰国後もキリシタン禁令の下で報われることなく無念の生涯を閉じます。政宗の覇権争いやイエズス会vsフランシスコ会の布教争いなど、関係者の思惑が垣間見えてとても興味が湧きました。2021/04/29
OKKO (o▽n)v 終活中
7
図書館 ◆慶長遣欧使節団の目的は「伊達政宗天下獲り作戦の一環」で決まり、でいいのか? 著者大泉氏とその師匠スジはどうやらそういうことを主張しておられる ◆16世紀末~17世紀の短い期間というのは、日本と西欧とがそれぞれの思惑を抱いて直接交渉し、ソテロみたいな純粋なんだか悪玉なんだかよくわからん人物や各修道会の報告書、あるいは大名がヴァティカンに宛てて書いた書簡などがワッサワサ出てくる面白い時代なのだ! 世界史/日本史って馬鹿げた括りに囚われちゃ、見えるものも見えなくなっちゃう。まさにグローバルヒストリー!2016/08/19
コオロ
2
支倉六右衛門をドラマにするなら、準主役ソテロを相棒にしてのトラブル連続ドタバタロードムービーになるのだろうか。外交をソテロに丸投げした挙句最後には梯子を外すダサい伊達政宗という著名人のキャッチーなエピソードもあるから向いていると思う。長い歴史の中には、こういう「何も成せなかったから大っぴらに記録を残せなかった」物語がたくさん埋まってるんだろうなあ。2023/03/25