中公新書<br> 市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか

中公新書
市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか

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  • サイズ 新書判/ページ数 186p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121014658
  • NDC分類 331.2
  • Cコード C1230

内容説明

一七七六年、アダム・スミスは『国富論』を著し、「見えざる手」による市場社会の成立を理論化した。歴史学派・社会主義者はこの自由主義に異議を申し立てたが、経済学の科学化は「パレート最適」を生み、自由主義経済理論は完成したかにみえた。しかし大戦と恐慌は各国産業を弱体化し、自由放任を補完する形での政府介入を説くケインズ理論が世界を席捲するものの、その反動が七〇年代現れる。「自由」への対応を通して経済思想史を展望。

目次

経済学の誕生
社会主義の思想
市場と国家
政治経済学から純粋経済学へ
功利主義の思想
一般均衡の思想
市場社会の変貌―ヴェブレンの経済思想
大転換―K・ポラニーの経済思想
法人企業の変容―バーリ=ミーンズの見解
ケインズ革命〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

96
もともと放送大学の経済思想という教材だったそうです。1999年に改訂発行されていますが、最初はアダム・スミスからマネタリズム、自由の思想までわかりやすく書かれています。参考文献がきちんとしていて非常に参考になります。最後のほうにミルトン・フリードマンやアイザイア・バーリンの自由論も書かれています。2015/11/03

Kazuo

6
スミスから、ワルラス、ケインズ、フリードマンと主流経済思想史を概観し、ヴェブレン、ポランニーという思想家も解説する(マルクスは2章の一部で解説あり)。本書に低通する基本思考は「思想というのは『ある特定の問題』に対する一つの回答である」ということ。ケインズは目の前にいる多くの失業者を、フリードマンはインフレ抑制を自らの問題とし、その思想を形成・発展させた。では、いまの我々の「問題」は何か?また、現在の主流経済学の価値観(成長主義、自由競争、株主主義等)は、正しいのだろうか?その問いから我々の経済学が始まる。2016/04/03

Yasomi Mori

6
180頁と薄いのに内容は濃い。アダム・スミスから現代のマネタリズムまでの解説をとおし、経済学が「いかにして自由を実現するか」をめぐる思想の歴史でもあったことを提示。今日からみれば自由を否定したかに見えるマルクスも、資本主義では「真の自由」に到達しえないと説いたのであり、やはり「自由」を追求したひとり。/近年優勢な自由放任主義と、スミスらの自由主義との自由観のちがいにも納得。国家による強制を極小化すること=自由と捉えるか、ある種の強制のなかでのみ自由が可能だと捉えるか。前者は楽観的すぎるように思う。2014/01/08

Hiroki Nishizumi

4
これは経済史の教科書みたいだなぁと思いながら読んだところ、本当に放送大学のテキストであった。なるほど、さもありなん。2019/01/18

ぽん教授(非実在系)

3
経済思想史はスミス~リカード、マルクス・歴史学派、限界革命、ヴェブレンとケインズ、マネタリストという消極的自由と積極的自由が交互に現れる姿であると概観的に描くことが出来る。限界革命・ランゲ・マネタリストによる純粋数学志向や社会制度との関連をややもすれば排斥しがちな発想を批判気味であり、逆に制度や文化、確率計算不能な不確実性を重視するヴェブレンやケインズ、ポランニーやハイエク、更にはスミスやマルサスリカードには好意的である。欲望を規定する制度・文化という社会構築的な発想の必要性を繰り返し論じている。2016/07/07

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