中公新書<br> 国際歴史教科書対話―ヨーロッパにおける「過去」の再編

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中公新書
国際歴史教科書対話―ヨーロッパにおける「過去」の再編

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121014382
  • NDC分類 375.9
  • Cコード C1238

内容説明

ナチスが残した負の遺産を抱える戦後ドイツは、フランスやポーランドとの間で、歴史教科書の記述をめぐる対話を続けてきた。その営みは冷戦下いかなる成果を生み、ヨーロッパ統合の潮流のなかでいかなる発展をみせたのか。ともすれば理想視されがちな「大いなる試み」を、その限界すら見据えつつ丹念に検証し、歴史教育をナショナリズムから解放する方途をさぐる。日本とアジア諸国との教科書改訂問題にも資するところ大きい考察。

目次

序章 歴史教科書への問いかけ
第1章 戦後ドイツにおける対話の再開
第2章 鉄のカーテンを越えて―ドイツ・ポーランド教科書対話
第3章 ドイツ・ポーランド教科書勧告の反響
第4章 歴史教育における“ヨーロッパ”への取り組み
第5章 ヨーロッパの歴史?
終章 国家観の変容と歴史の課題

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サアベドラ

11
戦後から90年代までのヨーロッパ諸国における二国・多国間教科書対話の歩みと成果をまとめた新書(教科書対話とは、主に、それぞれの国の教育者や学者が各国の教科書の問題点を互いに指摘し、議論しあう行為)。著者は早稲田大学の教授。教育学者。具体的に扱うのは、独仏間およびドイツ・ポーランド間の教科書対話、それにヨーロッパ統合期における構成国間のヨーロッパ共通教科書の作成の試みの3つ。ナショナリズムを克服すべくはじまった試みが、こんどはユーロセントリズムというより大きな自己・他者認識の形成に資してしまうという皮肉。2016/06/15

扉のこちら側

5
初読。「教育が民族意識を植えつけ、それを高揚させるうえで決定的な役割を果たしてきたことが明らかな以上、ヨーロッパが成長しつつある今日、歴史教育は同じ道をたどることのないよう注意しなければならない」2012/08/02

日の光と暁の藍

3
国際歴史教科書対話とは何か。それは、「各国の歴史教科書やその他の教材のなかに存在する自国中心主義的な記述を相互に指摘しあうことを通して」(P13)、歴史理解の改善を促し、歴史教育をより平和的なものとすること、を意味する。本書前半部では、ドイツとポーランドの二国間での国際歴史教科書対話を巡る議論が論じられる。後半部では、多国間の国際歴史教科書対話を巡る議論が論じられる。欧州各国の視点からではなく、“ヨーロッパという視点”から『ヨーロッパの歴史』という教科書を作り上げる取り組みについて後半部で論じられている。2014/04/01

ヤマダ

1
ナショナリズムを克服するのは限りなく不可能に近いですね。とはいえ共通教材への試みというのは評価されて然るべきだと思います。ヨーロッパの共通教材をめぐる議論と東アジアのそれと違うのは政治的関連性と被害と加害の複雑性だと思います。それにしても歴史を描く作業にも哲学が不可欠なのだということを再確認しました。国内でも右翼だ左翼だと泥沼に陥ってないで、正統性と戦略性を再帰性の中で選択していくような本格的な議論が待たれるなと感じます。その議論を通して限界にぶつかっているヨーロッパとの差は大きいと認めざるを得ません。

メルヘンチック

0
隣国との距離感に違いはあるものの日本にとって学ぶことはたくさんあると思うのだ。

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