内容説明
遍歴の騎士が風車を怪物と見誤り、従士サンチョ・パンサが必死にとめるのもきかず、槍をかまえて突進していく―セルバンテス作『ドン・キホーテ』の有名な場面である。作品は発表当初から大評判となり、気を良くしたセルバンテスは後篇を出版すべく執筆に励んでいたのだが、そこへ非常に手の込んだつくりの贋作が現れた。偽物を読まされた作者の反応は、そして贋作者の真意とその正体は。黄金期スペイン文学史を彩る贋作騒動の顛末記。
目次
第1章 不死身のドン・キホーテ(第一の門出;第二の門出、風車の冒険 ほか)
第2章 贋作『ドン・キホーテ』(贋作の出現;どこで印刷されたのか ほか)
第3章 『ドン・キホーテ』の序言論争(なぜ贋作を書いたのか;ローペ・デ・ベガの芝居 ほか)
第4章 ドン・キホーテの歩いた道(ロシナンテの歩く距離;「名は思い出したくない村」の所在 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
22
スペイン学の権威、岩根先生の中公新書スペインシリーズ(物語スペインの歴史 正続 そして本書)の一つ 原作に負けないくらい面白い贋作があった!2016/06/24
suzuki-takefumi
1
ドン・キホーテに贋作があったってこと自体、初めて知った。それにしても作者の過激な反応は、まあ、しょうがないんだろうけど、何もそこまで……って気はする。粗筋を読むと、贋作は二次創作としても不出来らしい。2011/05/15
zwa
0
本家『ドン・キホーテ』を買ったので、副読本的に購入。これまで贋作があったこと自体知らなかったので、本家『ドン・キホーテ』の読み方も変わりそう。2023/10/23