中公新書<br> 現代中国学―「阿Q」は死んだか

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中公新書
現代中国学―「阿Q」は死んだか

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  • サイズ 新書判/ページ数 288p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121013767
  • NDC分類 302.22
  • Cコード C1212

内容説明

中国と言えば、これまで日本人は、格調高い中国古典に関心を抱き、伝統中国に郷愁を覚えるのが普通であり、現代中国や無数の愚民「阿Q」にはあまり関心がなかった。しかし好むと好まざるとにかかわらず、日本は現代中国と共生してゆかねばならない宿命にある。その現代中国を、表面的にではなくて、古典中国学・伝統中国の研究者の立場から本質的に分析し、「「阿Q」は死んだか」と問い続け、真の現代中国学の必要性を提唱する。

目次

序章 中国大陸と台湾と
第1章 名実を読みこむ
第2章 儒教を読みこむ
第3章 資料を読みこむ
第4章 人間を読みこむ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

28
本書に書かれていることすべてに賛同はできないが、中国に対する考え方について得るものはあった。特に第二章「儒教を読みこむ」。そもそも中国と日本の死生観は背景にある宗教的思想が異なるので断絶しており、理解し合うことは困難。ここのところを正確に把握することがすなわち理解につながるのではないか。そういった思想であったり、歴史であったり、学ぶところは多かった。2014/05/24

in medio tutissimus ibis.

5
阿Q――愚民の存在は、「吏をもって師となす」中国の伝統的統治法の産物である。文学の道徳・政治性から権力は恣意的で不安定なものとしてあり、言語の特性から有限の世界観と実優先の思想は近視眼的な実利主義が生まれる為である。そしてまた、儒教は単なる道徳律でなく東アジアの精神的支柱であるシャーマニズムだが、その在り方には地域差があり、またその理解は近代化=西洋化の誤解の下に乏しいものとなっている。以上の事柄が古代にも現代にも中国に一貫する事柄である。云々。大乗仏教中国起源説とかトンデモもあるが、独特の視点で面白い。2018/03/26

denz

4
形式という〈名〉を重視するために何度も礼状を出さなければならない日本人に対して、〈実〉を重んじる中国人は長期の関係を予想した礼よりも、その都度の感謝を表現すれば良いというドライさ。道徳として死んでも宗教として生き残る儒教。中国の公式発表を鵜呑みにせずに、自分で矛盾がないか検証しつつ考察しなければならない、という資料への視点。そして現代中国人の人物像。総論としての前二者の具体論として後二者を論じていく。文革の批判者としての著者の同時代の論説を再録しつつ、中国研究者として唯一の(?)江青追悼文が出色。2013/10/24

にゃん吉

3
現代中国を知るには、中国の伝統、古典をふまえた分析が必要であることが説かれています。中国の伝統的な権力、政治観、(宗教的本質を重視した)儒教等の、中国の文化、文明を貫く根幹部分を示し、それらをふまえた現代中国の分析が記されています。平成9年初版の本で、本書で具体的な分析の対象とする「現代」中国は、当時の「現代」中国で、その点から見れば、隔世の感のある古い本ということになりますが、本書で示される中国の伝統、古典をふまえた現代の理解という視点や、具体的に示される分析のための要素は、今でも有用かと思われました。2023/09/21

るるこ

0
学っていうタイトルほど学問してない気がするけど、まあこの人はこう思うんだフーン?みたいな感じで読めました。 ちょっと文体の決めつけ感が鼻につきましたね、どっちつかずで結局何が言いたいのかわかんないもやもや本よりはきっぱりしてて潔かったけども。2012/10/18

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