内容説明
本書では、アメリカでの医療政策の展開を検証しつつ、遺伝子をめぐる重層的な問題に多面的にアプローチし、それが二十一世紀に持つ意味を探る。
目次
第1章 第三次医療技術革新―遺伝子・技術革新・医療費
第2章 サイエンスとしての医療とケアとしての医療―ヒトゲノム・プロジェクトの起源とアメリカの医療政策
第3章 政策としての生命倫理―「ブラックボックスとしての医療」からの離陸
第4章 「一億総障害者」の時代―遺伝子技術と「疾病‐障害」概念の転換
第5章 高齢化の生物学と高齢化の経済学―遺伝子と経済システム
第6章 障害の受容、死の受容―生命・遺伝子・時間
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶幸才斎
2
遺伝子研究に関し、我が国の医学医療としての研究の遅れとか、医療技術と生命倫理の問題とか、直接的な課題は幾らか浮かぶものの、実はそれだけではなくて、遺伝子研究の発達は、従来の「疾病」「障がい」「老い」「死」の概念に大きな影響を与えるものであり、高齢社会を迎えた今、医療や障がい福祉、高齢者介護など、社会保障政策という国家運営上の課題として議論すべきである、という本。興味深かったのは、「死」を無意識・無限の暗黒と捉える、直線的時間概念から脱却する方法を検討している点。だが説得力はない。難しいね、こればっかりは。2012/08/29
denken
0
高齢化社会にあたっての発想を知る。2012/03/25
くらぴい
0
遺伝子学を理系的に論じるのではなく、公衆衛生の一側面として論じていて興味を持って読めました。2020/01/03