中公新書<br> 水道の思想―都市と水の文化誌

中公新書
水道の思想―都市と水の文化誌

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  • サイズ 新書判/ページ数 235p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012975
  • NDC分類 518.1
  • Cコード C1220

内容説明

日本では、水道の原水を地表水に求めて塩素などの薬品で浄化するのに対して、ヨーロッパでは、地表水を敬遠し、湧水や地下水に頼って薬品使用を避ける傾向が見られる。なぜこの違いがあるのか。古代ローマにはじまる水道が、ゲルマン民族の大移動によって破壊され、その復活が十九世紀後半になった歴史をもつヨーロッパ諸国の水道建設の思想的背景を、日本の場合と比較。都市化と乱開発のなかで危機が叫ばれる飲料水について考える。

目次

序章 なぜ今、水道か
第1章 前近代の水道
第2章 きめ細かな水源別対応
第3章 人工的地下水づくり
第4章 水質保全と危機管理
終章 転機に立つ水道

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ピオリーヌ

8
「肉食の文化史」が面白かったので同著者のこちらも。ヨーロッパと日本の水道事情について述べられる。ヨーロッパの水道思想には古代ローマの「どんなに距離が遠くとも、処理を必要としない湧水を導水する」という理念が色濃く受け継がれ、地表水をなるべく敬遠し、極力地下水を用い、塩素等消毒は極力しない。方や日本は地表水を中心に用い、短時間で塩素等消毒を行う。ヨーロッパでは人工的地下水の作成も広く行われており、地表水を敬遠する思想の根深さに改めて驚かさせれる。2020/11/01

印度 洋一郎

5
同じ著者の「水道の文化」の続編的な本。ヨーロッパと日本との水道文化の違いを、今回は古代ローマにまで遡って考察。そんな昔からヨーロッパでは水質にこだわり、たとえ遠隔地からでも上水道を作ろうとし、自然濾過を中心にした水質管理で消毒をあまりしない。地表に近い水は使わずに、あくまで地下の伏流水にこだわる。その歴史はわかるが、何故なのか?は最後まで不明。多分、ヨーロッパの人に聞いても、それが当然なのでこちらが腑に落ちる解答はないかもしれない。その反面、著者は日本の水道の塩素消毒には、その発癌性にも言及して批判的2019/04/24

miyatatsu

5
水道を含め、インフラの充足の必要性を改めて感じました。2018/12/01

in medio tutissimus ibis.

2
欧州には古代ローマに端を発する「地表水を敬遠し地下水や湧水を好む」思想があるが、日本はその逆である。とするのが本書の主張するところであり、上水道の実際の運用はそのとおりであるように見える。が、その思想の実在というのが特に証拠もなく疑わしい。例えば、欧州の地形がなだらかなので水がなかなか流れずよどみがちなため敬遠されるが、日本は人口密集地は埋立地が多いから地下水は敬遠される、という説明も可能である。それに現代日欧の水道政策に影響大なると著者自身折に触れて指摘するアメリカの事情に全く触れないのもいただけない。2020/12/12

Akihiro Nishio

2
素晴らしい本だった。前作の「水道の文化」よりもさらに内容が充実している。全体的に日本のお粗末さが目立つが、岐阜や一部の都市の水が素晴らしいこともわかった。2012/01/15

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