内容説明
本書は、近代経済学における市場把握の足跡を辿り、イギリス新古典派経済学の祖、マーシャルにあった動態的市場把握の論理を、ケインズ,ヒックスらが,異なる状況下で、いかに継承したのかを検討する試みである。
目次
シュンペーターからの出発―新古典派の原像へ
新古典派経済学の原像(マーシャルの市場把握;自由貿易論と企業論)
ケインズと市場経済―株式会社の時代におけるマーシャルの「直観」の継承者
ヒックスの動態的市場観―ワルラスの「形式」からマーシャル、ケインズの「直観」へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
84
副題にもあるように、マーシャル、ケインズ、ヒックスに市場経済学の源流ということで書かれていますが、シュンペーターに最初の項を割いています。その後新古典派経済学のマーシャルについての理論、特に企業形態や株式会社について論じています。ケインズも市場経済の観点、ヒックスは動態的市場観ということで、従来の経済学史の観点から異なっています。ポイントを市場経済に絞ったようです。2015/11/01
masawo
5
教科書や解説書を目指したものではないと宣言していて怯みかけたが、蓋を開けてみればマーシャル,ケインズ,ヒックスという大御所を「市場経済の均衡」という視点で料理した良書だった。経済理論の一歩先を見据えている著者の眼差しが印象に残る一冊。2021/09/02