中公新書<br> 皇帝たちの都ローマ―都市に刻まれた権力者像

中公新書
皇帝たちの都ローマ―都市に刻まれた権力者像

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  • サイズ 新書判/ページ数 401p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121011008
  • NDC分類 232
  • Cコード C1222

内容説明

カエサルの総合都市整備計画によって地中海帝国としての偉容をととのえたローマは、以降、歴代皇帝たちによって公共事業を施されるとともに、彼らの政治的意図を誇示するための大造営事業の場となった。永遠の都ローマの栄光は都市に刻みこまれていったのである。しかし、最強の軍隊、発展と拡大という豊かな国家としての理念が行き詰ったとき、新しい理念に向けて改造することは、歴史を推積してきたローマには不可能であった。

目次

第1章 壮麗な都へ―カエサルの野望
第2章 秩序ある都―アウグストゥスの政治
第3章 新都市整備計画―ネロの光と影
第4章 横溢の都―フラウィウス朝の時代
第5章 都市機能の充実―五賢帝の時代
第6章 王朝都市―セウェルス朝の目論見
第7章 永遠の都―都市に刻印される歴史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nat

28
図書館本。何気なく借りた本だが、面白かった。皇帝によるローマの建築を中心に、ローマの歴史を読み解いていた。とてもわかりやすく楽しく読めた。『ローマ人の物語』を読みたくなってきたが、迷い中。2020/12/12

chang_ume

6
面白かった。帝政ローマの歴代皇帝を都市建設の文脈から跡付ける。考古学ならではの資料特性は、歴史解釈に説得力を生みますね。例えば遺構が錯綜した「フォルム・ロマヌム」(フォロ・ロマーノ)については、歴代権力者単位の空間軸をもとに各レイヤー毎に読み解いていく。「フォルム・ユリウム」(カエサル広場)と「クリア・ユリア」(元老院議事堂)の関係は、カエサルの共和政ローマに対する簒奪がランドスケープに刻印されたようで印象的。また市街地北縁「カンプス・マルティウス」が整然とした都市計画のもと新都心化していく経緯も。良書。2019/08/08

鐵太郎

6
都市計画とは、膨大な費用と、反対でないまでも民衆の最低限の賛同、そして為政者のゆるぎない継続する意志が必要です。それができる体制を曲がりなりにも維持できたこと、これがローマ帝国の存在意味の一つだったのかもしれません。この本で描かれるのは皇帝たちがこの巨大な都市が統べる強大な帝国を、統治し発展させ守ろうとした歴史です。この時代の入門書として十分魅力的な本ですね。読んでいて、楽しかった。  2013/09/08

印度 洋一郎

5
紀元前二世紀のカエサル(シーザー)登場直前から、軍人皇帝後のコンスタンティノーブルに遷都する四世紀までの約六百年間の共和制末期から帝政に至るローマの都市計画、建築物から皇帝達の去就を読み解く。これを読むと凱旋門、神殿、水路、穀物貯蔵庫等どの建築物にもその当時の政治情勢や皇帝の思惑を背景にしており、それは建築物そのものだけではなく、都市内の配置にも関わってくる。中でも、水と穀物供給は民意安定のために重要だった。しかし、カリグラやネロの治世には、政治的背景よりも自分の欲を背景にした建築物も出現している。2023/09/12

しもふさ

5
建築にはその時代の文化だけではなく理念、権力、権威のあり方、政治状況が反映されているという考えのもとに、建築(都市計画)から共和制末期から帝政ローマを描いた本ですが、文明の興亡と建築の在り方が連動していて壮大な気分になりました。文明と都市が終わるときの様子も、成熟社会の日本を生きる身にとって身近なもののように感じました。本書の主旨とはそれますが五輪会場をザハトさんではなく隈さんにしたことは、これは後世から見てどうとらえられるのか興味があります。2020/04/30

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