内容説明
急増する交通事故。しかし、加害者の賠償交渉は保険会社に委ねられ、被害者には知識も情報もほとんど与えられていない。被害者の請求にはどんな心理が隠されているか。それに対し保険会社ではどのような論理で対処しているか。本書は交通訴訟の経験豊かな著者が、過剰診療や鞭打ち症の実態、外国人被害者への補償、生命の値段の国際比較など今日的な問題をとりあげつつ、紛争化に至る要因を分析し、よりよい救済への指針を示す。
目次
序章 交通事故賠償へのアプローチ(現代法としての交通事故賠償;被害者をとりまく心的風景;交通事故賠償の百鬼夜行;人身賠償のリーダー)
第1章 賠償交渉の舞台(舞台はどのようにしてととのうか;交渉のゆくえ)
第2章 交通裁判の現場(交通訴訟の審理;民事と刑事の相関関係;東京地裁対大阪地裁)
第3章 損害をめぐるエコロジー(医療費にメスを;後遺障害認定のすきま;被害者からの愁訴)
第4章 国境を越えた賠償交渉(増加する海外事故と外国人事故;賠償交渉の障壁;日本人の海外における交通事故;外国人の日本における交通事故)
終章 被害者救済への新たな道(メーカー、行政への責任追及;被害者救済をはばむもの;被害者のセルフディフェンス;交通事故賠償のユートピア)