中公新書<br> 現代思想としての環境問題―脳と遺伝子の共生

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中公新書
現代思想としての環境問題―脳と遺伝子の共生

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  • サイズ 新書判/ページ数 187p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121010759
  • NDC分類 519
  • Cコード C1210

内容説明

環境問題はいまや世界的関心事であり、政治・経済・文化(倫理)、科学等の次元から論じられるが、〈自然対人間〉という二項対立を越える議論は数少ない。本書は「環境と人間は生物の進化の織りなすDNAメタ・ネットワークとして一体化する」という立場から、環境問題とは情報の肥大化した文化によって人間が危機に立っていることを意味するとして、コンピュータに希望を見る。生命をめぐる現代思想を軽快に駆け抜けて展開する論考。

目次

第1章 見取図(現状;思想的背景)
第2章 環境(環境問題複合体における環境、あるいは人間にとっての環境;生態学の環境、あるいは人間を含んだ環境;進化論の環境、あるいは人間に織り込まれた環境)
第3章 エコロジー(二つのエコロジー;エコロジーと環境問題;さらばガイア)
第4章 人間(さまざまな環境世界;霊長類の環境;環境の誕生)
第5章 DNAと文化(DNAメタ・ネットワーク;分化の生物学;人間の文化)
第6章 コンピュータ(コンピュータと環境の三角形;コンピュータと生命)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobody

14
現代思想とあるがサルトルもフーコーもデリダも出てこない。というか現代思想は全く関係ない。筆者は欧米哲学者による環境問題本を読み、かなり苦痛で面白くなく建設的ですらなくわかりきったことをぐだぐだいわれてイライラしたと評したが、本書もその書列に加わる1冊である。己の専攻たる進化生物学が環境問題で扱われないのをしきりと憤るが、これだけ空疎で頓珍漢なことしか言えぬのならお呼びがかからなくて正解だ。コンピュータが環境問題を解決するそうだが具体的論証は全く示されない。ガイアは生命ではないがコンピュータは生命であると。2018/02/06

ハチアカデミー

6
科学を再び、自分たちの手足にすること。本書の主張をかなり大ざっぱにまとめてしまえば、そう言えるかも知れない。現代において科学的な進化は驚異的なスピードで進んでおり、人間が遺伝子レベルで対応できるものではなくなっている。それは人間だけでなく、ともに地球という環境すべてに及んでいるため、環境問題が生まれる。人文学と科学のどちらかに偏るのではなく、その両方から考えることでしか、問題の把握もままならない。トドのつまり、環境問題を問題としているのは人間であり、そこから考えを始めなければなにも始まらない。2013/06/11

★★★★★

4
生態学の方のエコロジーから見た環境問題。先行の議論をレビューしている箇所もありますが、全体としてはタイトルから想像されるような概説書ではありません。示唆的でけっこう面白かったけれど、ところどころ議論が飛躍しすぎな感じですかね。2010/12/05

Nさん

3
1992年刊行。環境問題への考え方を整理するような内容。環境問題は「人間vs自然」の二項対立に陥っており、そのどちらか一方を選ぶようなことはできない。人間を含んだ自然を理解する必要がある。そして、人間とはどの様な生物か?と話は進み、遺伝子と脳に着目する。遺伝子は自然への「適応」だとすると、脳は自然への「働き掛け」だろう。それは創造と破壊の両義性を孕んでいる。その破壊が環境問題だと言えよう。著者は、脳の外部機能としてのコンピュータに環境問題解決を託すが、その根拠が語られず。起承転結の「結」は何処へ行った?2021/01/19

とーとろじい

2
自然と対立する人間中心主義から、自然とパラレルな生態学的視点を取り入れた人間中心主義へと転換することで環境問題を包括的に考えようというのが著者の主張である。人間を相対化させるために遺伝子の乗り物として人間を捉える視点は生物との調和(エコロジー)に繋げられると思うが、脳をミームの乗り物として見るという後半の展開は(独自な発展を遂げた)人間しか取り込めないのでAIとの比較で相対化はできるが自然との調和には直接繋がらないだろう。電子機器生産のために資源が搾取される現代では、その脳の定位と思想こそ必要なのである。2021/12/16

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