中公新書<br> 経済倫理学のすすめ―「感情」から「勘定」へ

中公新書
経済倫理学のすすめ―「感情」から「勘定」へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 242p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121009500
  • NDC分類 331.15
  • Cコード C1212

内容説明

倫理学といえば、必要以上に難解な、もってまわった表現で語られる印象が強いが、本書では「限られた財を人人にどう分配するか」という“稀少性の制約”を取り扱う経済学の発想を借りて、明快な議論を展開する。その際、倫理問題につきものの“感情”を“勘定”に置き換え、人々の損失と不満を少なくするような、無難な答えを見出すことを試みる。また数多くの例題が与えられており、それを解くことは格好の「頭の訓練」にもなる。

目次

序章 「稀少性」の制約と倫理問題
第1章 利他主議の限界
第2章 感情と勘定
第3章 交換の正義
第4章 分配の正義と嫉妬
第5章 競争とゲーム
第6章 自由をめぐる問題
第7章 金儲けの経済倫理学
第8章 福祉国家の経済倫理学
第9章 民主主義の経済倫理学
第10章 生と死の経済倫理学
第11章 プロメテウスの倫理学

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

26
経済学者だから倫理の問題を功利な解決へもっていくのは自明かもしれない。自分は功利主義者ではなく、伝統文化や一見非効率と思われるところを遊びとして大事にしたいので、相いれない内容であった。倫理を感情と認めるのは良かったが、その倫理を最小限にもっていくのではなく、その大きさを維持しながら、付き合う、議論を積み重ねていくことが大事だと思う。タイミングによって導かれる結論は180度変わることもある。そのために政治があるのではなかろうか。2021/11/05

北風

13
経済というものを倫理学から考察する、今でこそあまり珍しくないですが、この内容を何十年も前から書いていたのには読み返してすごいと思います。内容は平易で、クイズ形式で書かれており、読者に考えさせるのが面白いですね。人はすべて稀少性のために競争しており、教育や生命、ポルノといった、意見が対立しそうなものにまでズバズバ斬り込んでるのが小気味よいです。小泉改革の前に書かれていたのが、やはり特筆すべきでしょうか。絶版なのが悔やまれる本です。(中公新書にはもっと絶版になるべき本があるのに…。) オススメ度:★★★★★2014/05/06

hikaru

3
倫理学のスタンダードな入門書。http://book.akahoshitakuya.com/b/4334034934 と合わせて読みたい。/ 個人的には倫理学を構成するのに、「利他性」は必要ないと思っている。利他性はあくまで見かけの性質であって、利己性のみから倫理学を構成するほうが「倫理的」ではないかと思う。逆に言えば、真に利他性を問われるような問題は、それがあるかどうかは別として、今の人類がもっている方法論では扱えない。2014/06/26

サカモトマコト(きょろちゃん)

2
経済学者の目線から倫理学を考察した本。 出版されたのが平成元年ということでかなり内容が古いと感じるところもありましたが倫理学を勉強する第一歩の本としてとてもいい本だと思いました。2018/05/31

govoff

1
筆者は倫理学の問題に対して経済学的な考え(費用・便益・効用・ホモエコノミクス・希少性・勘定等)を用いたアプローチを試みる。その手段により、当然功利主義的な結論となる。本書では、テーマ毎に幾つかの倫理問題が設定され、それに対して筆者が経済学的な考えを用いて答えるという形を採っている。その答えには納得できるものも納得できないものもある。人によっては筆者の考えに少しも賛同できないかもしれない。2015/01/13

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