中公新書<br> ケインズとハイエク―「自由」の変容

中公新書
ケインズとハイエク―「自由」の変容

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121009067
  • NDC分類 331.74
  • Cコード C1210

内容説明

戦争が時代を裂き、思想も倫理も根底的に揺いだ20世紀前半、ケインズとハイエクは自由(主義)意識を共有したのではないだろうか。しかし、彼らの知性を育んだミリューが全く異なるように、彼らの打ち立てようとした新自由主義は、拠るべき地盤も目指すべき世界もその性格は対照的であった。にもかかわらず、一方を肯んじ他方を退けることはできないのではないか―。科学と倫理の根本的課題に肉薄する。

目次

第1章 喪われた世界(ムア倫理学とブルームズベリー・グループ;ケインズの回想記にある二つの視線;ツヴァイクの遺書;世紀末ウィーンの真空;自由のユートピアン、ハイエク)
第2章 自由主義と自由放任主義(2つの画法;自由主義の終焉;2つの自由主義;実証主義の興隆と自由の解体;体系としての自由)
第3章 ハイエクの自由論(自由の条件;不在の体系;民主主義論)
第4章 自由のディレンマ(経済の投機化;「市場経済」から「貨幣経済」へ;貨幣経済のディレンマ;自由の技法)
大衆社会の中で

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

68
二人の偉大な経済学者を対比させながら、自由を両者ともに求めていたが、その自由がどのように異なるかを示してくれています。一つはケインズ主義、もう一つは新自由主義ということで説明していますが、私はケインズが実務主義的な観点にあるのに対してハイエクは経済思想的な側面が強いと感じています。2015/10/25

isao_key

7
20世紀を代表する二人の経済学者を対比させて考えの違いを浮き上がらせる。ハイエクの見るケインズは、学者というよりは「偉大なアマチュア」であった。名演奏家が楽器を上手に操るように世論を巧みに操ろうとする政治家というのが彼の印象だった。ケインズへの評価で、理論や政策においても自分の主張を終始一貫させなかったと言われることも念頭にあったのかも知れない。二人の大きな違いはハイエクが政府の経済への介入を拒み、経済活動の自由を主張したのに対し、ケインズは自由放任に終焉を宣告して政府の経済介入を主張したところにある。2014/03/10

うえ

2
「ハイエクは自由は一つ、すなわち強制からの自由を措いてほかに自由はないという…社会主義やファシズムは言うまでもなく、デモクラシーさえも国家の機能を拡大させている、と彼は見た。人民主権に立脚するデモクラシーは主権者人民の諸々の要求を満足させるために国家への依存度を増し、自由の領域であった個々人の私的領域への介入を強めていく。…『隷従への道』は、このような計画化に対する痛烈な批判の書である。…彼は社会主義とファシズムを同列に置き、あまつさえファシズムは社会主義の必然的な帰結とまで言い切っている。」2024/03/17

脳疣沼

0
名著と言えるのではないかと思った。2017/07/02

koumori_2011

0
ケインズとハイエクというとだいたい対置して語られる事が多いがこの本は「自由主義」という同列でケインズとハイエクを並べるという意欲作。 自由ー民主主義ー市場ー貨幣という論点も面白い。 消極的自由・積極的自由や自由主義が自由放漫主義へ移ろいやがて全体主義(設計主義)にというのも視点が面白い。 実はこの本は購入して6年ほど経つがその頃は意味が判らず読めなかったものが、こうして面白く読めたのは自分の成長でもあるかな?と少し嬉しくなった。2024/02/27

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/457946
  • ご注意事項