感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
ナチスによって大学教員の人事がコントロールされたことを挙げつつ、実はドイツ(プロイセン)では学部の意志を無視した人事が伝統的に行われていたことを示す。そもそも「ヘーゲルやランケやモムゼンがベルリン大学に招聘されたのも…文部官僚の手で政治的に決定された」しシェリングのベルリン大学行きもヴィルヘルム四世の決定だったという。1817年から1900年までに学部の提案を無視して招聘された教授は322人(23.8%)だとか。故にナチスのやり方に「大学自治の重大な侵害と受けとるものはほとんどいなかった」のだという…。2022/09/07
u akila
2
学生運動でナチズムを盛り上げて、国民的広がりを見せた後からは一気に大学を締め付ける。2016/03/27
Aby
2
昔買った本を読み返す.「ナチの介入にもかかわらず,伝統的学問とその制度を守りえたとしても,それは決して学問を守ろうとした大学側の道徳力によったとはとてもいえない」(p.183).余計なことを言ったりしたりしなければ,非ナチ教員も生き延びられたわけだ.ソ連の学問が大概イデオロギーと絡んで展開するので,ルイセンコ学派本を久しぶりに開くかな.2014/02/27
ナカシマ
1
はー、おもしろかった。世界の模範となったドイツの大学がなぜヒトラーの妄想に仕えたか?という問いがまずそそる。大学論の中で頻出する「フンボルト理念」や「学問の自由」が政治的な闘争の渦中にあったことは目から鱗。そして、個人的ではあるが、第一次世界大戦後、混乱するドイツの中でかのウェーバーが「価値判断から自由な学問」を強く訴え、『職業としての学問』を出版したその生き様にやはり感銘を受ける。しかし時代のうねりはウェーバーの高潔さをも飲み込む……。著者の魅力的な文章のおかげで詳細な歴史的な資料も苦にならなかった。2017/08/17