感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
40
今から50年前の出版ながら、幕末における解りにくい薩摩藩の動きが大久保利通の生涯を通してすっきり理解できる優れ本。薩摩藩の財政大改革である「天保改革」、「お由羅騒動」、名君・斉彬の登場と彼の遺志である開国・公武合体路線、そして討幕、維新の変遷が順を追って納得感高く記述される。本書を読んで「寺田屋騒動」や「生麦事件」等幕末に起こった数々の事件の実相、真相が初めて理解できる。もっと早く出会うべき本だった。 2019/11/22
kawa
29
(再読)征韓論を巡る明治六年政変が、征韓に名を借りた政局主導権の争いだったという記述が印象的。西郷の朝鮮使節行が成功(成功を十分予想できた。)すると、大久保も参加した岩倉使節団の西欧列強に対する条約改正交渉失敗がクローズアップされ、政局をめぐるリーダーシップが西郷側の手におちたという。かくてこの政争に勝利した大久保は、佐賀の乱、台湾征討問題、西南戦争と全権を把握し、政治家としての本領を発揮することが出来たという。2020/07/20
Tomoichi
17
かなり古い著作なので最新研究に沿ったわけではないけれど、幕末から維新にかけての大久保の生涯がそのまま維新史となっているので、通史として楽しめる。ただ時代としてあまり興味がなくなっている自分を再発見。若い頃に司馬遼太郎による一連の幕末ものを読みすぎたかな(笑)2022/05/07
skunk_c
15
幕末~明治初期の大政治家の概説書。不仲の島津久光と西郷隆盛の関係をこの男がどう繋いだのかという関心から読んだが、久光との関係を築いた手段が囲碁だったとは!幕末にウエイトが占められ、著者自身が認めるように明治期が手薄。有司専制の成立については他書をあたるしかないか。初版は1969年と古いが、途中1976年に部分書き換えがあったことが記載。比較しないと分からないが、ページから推測するに征韓論争の部分。つまりこの著者は「西郷は征韓論者ではない」という主張で知られているのだが、その起源がこの頃ということか。2016/06/04
ぺぱごじら
10
大学の一般教養で「日本法制史」という講義があり、そのときのテキストだったのですが、未だに読み返すほど面白いです。この辺の時代は、坂本竜馬とか西郷隆盛、高杉晋作などにあこがれる方が多いのでしょうけど、ぼくはこの方の地味で「最善がダメなら次善、次善がダメなら三善」という執念深さに敬意を持ちます。2010/09/07