中公新書<br> ナチズム - ドイツ保守主義の一系譜

中公新書
ナチズム - ドイツ保守主義の一系譜

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  • サイズ 新書判/ページ数 258p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121001542
  • NDC分類 311.8
  • Cコード C1222

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

107
新書版でナチズムについてかなりよくわかる本だと思います。林健太郎さんとこの本を書かれた村瀬先生は当時のドイツの分析にかけては一人者であると思われます。ヒトラーの若い頃から政治的な考え方、なぜナチスがこのような勢力を増大させていったのかがよくわかります。また、トレバー・ロウパーの分析でヒトラーの考えはスラブ民族・ユダヤ民族を追いやってそのあとの東ヨーロッパにゲルマン民族を移動させようとした、という説が紹介されて定説となっていると書いておられます。2015/12/16

夜間飛行

71
独裁者とは決して特異な思想基盤や体験から生まれてくるわけではないらしい。ヒトラーの生育環境は自ら語るほど劣悪ではないし、浮浪者収容所にいたのも兵役逃れのためであって、典型的な中産階級だった。熱狂しやすく弁が立つとはいえ平凡な一兵卒ヒトラーの政治的出発点は、バイエルン革命で反革命軍に捉えられ、その手先となったという偶然に過ぎないのである。本書はナチズムをドイツ保守主義の嫡出子と捉え、個人やグループの異常さだけに原因を探る論調を戒めている。西欧の闇ともいえる民族対立に今後ますます理性の光が当てられる事を願う。2016/09/24

skunk_c

68
1968年の本で1995年の41版を読んだ。ヒトラーの生い立ちからミュンヒェン一揆までがかなり詳細に書かれていて、その間のヒトラーの演説や行動と、ドイツ(特にバイエルン)右派の動きが分かる。後半は第2次大戦中のヒトラーの談話から、彼の思想を読み解く。こうして初期のヒトラーと戦争中の彼の思想の一貫性、そして多様性を持ちながらもそれを支持した右派・保守系の主流派とのコラボをナチズムとして捉えるべきと提言する。ヒトラーおよびその取り巻きの「狂気」に矮小化すべきでないという立場であり、社会理解に重要な視点だろう。2022/07/23

coolflat

18
ナチスはなぜ生まれたのか。テーマとなっているのは、ヒトラー個人の異常的性格によるものではなく、ドイツに連綿と続く保守主義思想が下地となり、エリート層を主とした多くの国民が第三帝国への移行を支持した(ナチスを生み出した)こと。それを全編を通して読み解く。また前半は、保守反動の聖地バイエルンとヒトラーの関係、なぜヒトラーはトップに立てたのか(祭り上げられたのか)。ヒトラー台頭のきっかけとなったミュンヘン一揆を頂点とし、バイエルンで保守反動が栄えた理由や、中央政府やナチスにどう影響を及ぼしたかについて、読み解く2020/01/13

takeapple

15
ヒトラーは異常者で、ナチスドイツによるユダヤ人絶滅政策などは、彼の特異性によるものだという見方は間違いで、ドイツの歴史的、政治的、社会的必然性より生まれたと言う主張を、初期ナチス等の頃の状況を60年代後半までのドイツ等の歴史学の成果を用いながらわかりやすく解説してくれている。池内紀『ヒトラーの時代』の問題点を確認するために学生時代以来の再読。2022/08/14

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