出版社内容情報
小児性愛者殺害事件を追う、異常事件専門の探偵・宇宙船。美青年だが使い物にならない助手の米平青年、鳩狩りをする姉弟コンビ、浮浪者の出で立ちで森羅万象を知る直角仙人など、一般社会からはみでた人々を束ね、捜査を進める宇宙船。その正体は、一人娘を亡くし、重いうつ病にかかった主婦だった。
調査の依頼主・お嬢さんの下着が盗まれたり、怪人・空気ゴキブリに脅かされたりしながら、事件を追う宇宙船を待ち受ける真犯人とは――。
弱き者たちへの眼ざしと不意打ちの笑いがクセになる、奇才・前田司郎による初の推理小説!
前田 司郎[マエダシロウ]
著・文・その他
内容説明
一人の主婦が、この街を救う。秘密の“性癖”を抱えた人々が、彼女を呼ぶ。その名は、名探偵・宇宙船。笑い、葛藤、ときめき!脱力系探偵小説。
著者等紹介
前田司郎[マエダシロウ]
1977年東京都五反田生まれ。戯曲『生きてるものはいないのか』で岸田國士戯曲賞、小説『夏の水の半魚人』で三島由紀夫賞、NHKドラマ『徒歩7分』で向田邦子賞、映画『ふきげんな過去』でTAMA映画賞・最優秀新進監督賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
55
タイトルの「異常探偵」と「宇宙船」が結びつかず、そういうタイトルの2つの短編を含む短編集なのかと思ったら、宇宙船と名乗る探偵(?)が主人公の話だった。その探偵を始め、出てくる登場人物が、普通ではない変わった人物ばかり。これは意味不明、支離滅裂の不条理劇になるのか、と危惧したが、登場人物たちが不思議に有機的に繋がる良質のエンタメになっている。テンポの良い活劇の面白さもあり、ストーリーもひねりが効いている。探偵vs怪人、少年探偵団、そして、「屋根裏の散歩者」を思わせる場面もあり、乱歩へのオマージュも愉しめた。2018/06/24
あじ
38
頭巾を被った先生、30才の少年率いる探偵団、“空気ゴキブリ”なる標的。そして乱歩の口調を借りた宇宙人(?)の語り。むず痒い私の好奇心にイタズラする。彼らのズレが生じさせる擦れを、戸惑いとして分かち合いながら、奇妙なリズム感に踊らされる感じ、ヤバイ一体化しそう…。「この世は不良品なのよ。不良品のない世界なんて地獄だわ」異常者たちの異常な事件を専門に扱う彼らの活躍は、今始まったばかり(たぶん)。そして奇才作家の快進撃が始まってます(ように思う)。蠢く者と結託して文学界を食い荒らしてしまうかも!?期待してます。2018/03/24
おかむら
29
前田司郎の新作は探偵小説なんだけど、探偵が電波系パート主婦、助手が金持ちニートと浮浪児、依頼者も異常性癖と、なんだか常識外の人々しか出てこない。そしてこんなに危ないキャラクターだらけなのになぜかほんわか。江戸川乱歩ぽい語り口が楽しいが、 クセか強いので前田司郎ファン向け。2018/05/15
み
22
ジャケ読みした作品、たぶん初読みの作家さん。う〜ん、確かに異常だわ(*_*)設定からキャラから、読み終わって疲れてます。2022/04/09
那由多
19
要約すると、「変態の殺人事件を変態が、異常な探偵に依頼し、探偵は異常な仲間と捜査を開始し、変態怪人は変態怪人と戦い、異常な探偵たちは異常な犯人を追いかける」というもの。探偵と犯人の抱えるものがヘヴィでやり切れない。2020/01/11