出版社内容情報
読書は人を変え、風景を変え、空気まで変えるのかもしれない――見えにくくなった豊かな陰翳を掬いあげる、古くて新しい文学のはなし。
内容説明
読書は人を変え、風景を変え、空気まで変えるのかもしれない。現代詩作家がおくる、古くて新しい文学のはなし。
目次
1(昭和の本棚を見つめる;高見順の時代をめぐって;山之口貘の詩を読んでいく)
2(名作・あの町この町―地図)
3(「少女」とともに歩む;詩と印刷と青春のこと;思想から生まれる文学)
著者等紹介
荒川洋治[アラカワヨウジ]
現代詩作家。1949年、福井県三国町生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業。詩集『水駅』(書紀書林・第26回H氏賞)、『渡世』(筑摩書房・第28回高見順賞)、『空中の茱萸』(思潮社・第51回読売文学賞)、『心理』(みすず書房・第13回萩原朔太郎賞)、エッセイ・評論集『忘れられる過去』(みすず書房・第20回講談社エッセイ賞)、『文芸時評という感想』(四月社・第5回小林秀雄賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamahiko
8
昨年暮れにF県図書館において著者の講演を聴いた。軽妙な語り口調を思い出す。尊敬する詩人であるとともに、素晴らしい文学プロデューサー。言葉を味わいながら読むことの愉悦を思い起こさせてくれる。2016/01/02
風に吹かれて
6
文学は大切、ということを数々のエッセイで語ってきた現代詩作家の初の講演集。人の心の動きを知ることができるのは文学だけなのだから、文学は、そういったことを学べる実学なのだ、と主張する。大学から文学部が消えていき、マスコミも特定の話題性のある文学しか取り上げない。それが社会の息苦しさ、狭さにつながっているのではないか、と私も思う。マスコミでは取り上げないけど、大切なことを伝えている作品を識ること、それは、当たり前のことだけど、日本文学史をきちんと学ぶこと。わたしも、もう一度、そこから学びたいと思う。2015/08/09
よしひろ
5
古今の文学について考える。「降る雪や 明治は遠く なりにけり」しみじみ。2016/01/26
belle
4
講演録ということで読みやすいけれど、題名通り「文学の空気」がたっぷり充ちている本。~詩歌と散文、その二つがそろったとき、文学の風景が完全になる~と。夏本番。雷ゴロゴロのなか、避暑地での読書のような心地好い涼しさ。結城信一と石上玄一郎の本をさっそく図書館で探す。どなたの詩を読もうかな。久しぶりに白秋か。この夏の楽しみが増えた。2016/08/02
shouyi.
3
荒川洋治の文学に関する講演集。近代から現代までのそれほど世に知られていない詩人、作家をその実作も一部引用して紹介する形式。読書欲をそそられる作品が多い。2021/04/04