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朝露通信

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  • サイズ B6判/ページ数 376p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120046711
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

毎日外で遊んだ、たまに木の上で物思いにふけった。子どもだった日々が人生の後ろ半分を支える。

著者等紹介

保坂和志[ホサカカズシ]
1956年、山梨県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

22
当たり前だが、記憶を語る時は人は「今・ここ」にいる自分の脳内を拠りどころにしている。実際に過去に行って確かめてくるなんてことができない以上、あるのは「今・ここ」の脳内の活動が生み出す言葉だけだ。保坂和志はその「今・ここ」で回想/生成される記憶を瑞々しい筆致で書きつける。自分の記憶ほど当てにならないものはない、と私たちは学んだ。だが、当てにならない記憶であるならなおのことそれはかけがえのない一回性を孕んだものとして受け取るべきだろう。ここで綴られる瑞々しい記憶は、なるほど退屈さを感じさせるにしろスリルもある2022/03/13

しゅん

14
新聞小説という体裁は保坂によく合っているのではないか。作品のクオリティが上がるとかそういうことではなくて、1日ずつ進んでいくことで読み手に生じる時間感覚が、記憶や時間という作家が思考しつづけているテーマとシンクロしていくように思えるのだ。となると、リアルタイムで新聞で読んだ方がいいのかもしれないが、少年時代の鎌倉や山梨の記憶をフラットな距離感で(つまり時間軸を無視して)描いてくうねりを体感できるのは単行本ならではの魅力だ。あとがきで書かれているように、読者の記憶が刺激されることが重要なことなんだろうな。2017/07/19

勝浩1958

9
「あとがき」を読み終えて次のページを捲ると、そこに「装幀 平野敬子」が目に飛び込んできました。『まず間違いなくあの敬ちゃんだよな』、と意外ところでの出会い に懐かしさを憶え、一気に高校生の自分に戻ったのでした。後に知ったのですが、彼女は二卵性双生児の妹の方で、他校から彼女の姿を見に来るほどの可愛い女性でしたが、そのときの私はそのことに気づきませんでした。その彼女に初めてジャズ喫茶に連れて行かれ、それから入り浸るようになりました。保坂氏のこの著作によって”僕が経てきた時間と光景”がいま蘇りました。2014/11/24

kuukazoo

7
記憶が人をつくる、ということを思いながら読んだ。他人にとってはどうでもいいことの断片ばかりのはずなのに、なんでこんなにきらきら光って見えてきてしまうのだろう。どんな些細な過去も今を支えている。ただの回想記ではない。自分が何でできているのか、そのありとあらゆる素をひたすら浚っていくような作業。これも小説家の仕事。2014/12/02

田中はにわ

2
記憶がかき回される感じがある。縦横無尽に筋なく言葉が連ねられる、その幼少期の思い出みたいなもの、を読んでいると、読んでいる自分の思い出が浮かんでくるような、不思議な本。前半はそういうコンセプチュアル・アートなのだわと楽しんだが、後半はただの思い出話に沈んでいくような感じで、あまり楽しめなかった。それは「あなた」が放り出され、話が現在に戻らなくなることと関係していると思う。2019/07/28

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