内容説明
『サラダ記念日』から25年、人生の秋を迎えた俵万智が女性として母としての今を歌う。東日本大震災後を綴る書き下ろしエッセイも収録。
目次
春
夏
秋
冬
著者等紹介
俵万智[タワラマチ]
1962年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業。1988年、第一歌集『サラダ記念日』で現代歌人協会賞、2004年『愛する源氏物語』で紫式部文学賞、06年『プーさんの鼻』で若山牧水賞を受賞
奥宮誠次[オクミヤセイジ]
1953年、高知県生まれ。写真家。1986年に渡英し、ロンドンをベースに、主にヨーロッパを中心に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
306
写真家の奥宮誠次氏とのコラボレーション。これまでは短歌が先にあって、それに合わせて写真が撮られたり選ばれたりしていたのが、今回は「写真が先」という試み。おそらく、編集者の思い付きだろうが、端的に言えば失敗である。写真そのものにはとりわけ不満はないが(特に10ページ及び帯に取られているものは良い)、歌に冴えが見られない。しいて一首を選ぶなら「蜂蜜を巣ごと舐めいる子を見ればプーさんを産んだような気がする」か。やはり、短歌は自由な発想が確保されてこそ真価が発揮できるのだ。これは題詠とは似て非なるものであった。2017/07/06
新地学@児童書病発動中
110
俵さんというと『サラダ記念日』の印象が強くて、恋の歌の人というイメージが強いのだけど、そんなこちらの偏見を覆す歌集だった。1人の成熟した女性として、自分の中にある母性を生かしながら、子供たちや生き物、自然を慈しむような歌が多くて、読んでいて彼女の優しさに包みこまれるような気がした。ずっと眺めていたくなる奥宮さんの写真も素敵だ。お気に入りの一つのご紹介。「日本語の響き最も美しき二語なり「おかあさん」「ありがとう」」2014/04/18
masa@レビューお休み中
86
春夏秋冬、何があっても季節は訪れ、過ぎていく。日本でも、海外でも、平等に訪れる。どこにいても感じることは同じなのかもしれない。喜びも、悲しみも、楽しみも、怒りも…どこにいても感じることができる。それは、ありがたいこと。当たり前のことができなくなってはじめて、人はありがたいと感謝をする。美しい景色、人々の笑顔、大切な場所…永遠にある保証など、どこにもありはしない。だからこそ、今このときが大切なのだ。短歌と写真…そして、歌と詩の間に東北大震災について書かれたエッセイが載っています。2012/10/13
kaizen@名古屋de朝活読書会
56
#俵万智 #短歌 #奥宮誠次 #写真 日本語の響き最も美しき二語なり「おかあさん」「ありがとう」 物思い多き春なりフラミンゴ「はてな」の形に立つ昼下がり 川べりの道を散歩に選ぶ午後風が笑えば水面が笑う #感想歌 歌写真表情捉える一瞬に言葉広がり時空を超える2016/06/15
キジネコ
51
震災が怖あて 子供抱いて南に逃げたそうです。昔は 私が私が…て云うてたのが 身の程を知り 短歌で何ができるんやろ、て心境が変化したそうです。写真から 思い浮かぶ物語を歌にして…て、いう本です。誰にしても無駄に 歳をとるて いう事はないんやなあ~ と31文字の奥行きを堪能さしてもらいました。小説も そやけど 鏡に何を見るか 読者は問われる、やね。夏の歌を一つ「遊ぼうよ 裸になろうよ 笑おうよ いつでもどこでも 水はともだち 」これが好きやなあ~ 云えてた頃から 随分遠くまで来てしもうたけど 又云おうと思た。2016/07/28