内容説明
かつて陸奥にとてつもなく強いラグビーチームがあった。北海道や東北の無名の高校出身者を鍛え上げ、最先端の理論をいち早く取り入れた地域の古豪だった。そして1976年、明治大学で活躍した天才・松尾雄治が加わり、日本選手権で7連覇を成し遂げる常勝軍団となる―。本書は、当時の選手、相手チームなど80人近い関係者を取材し、どのようにして「栄光の7年」を獲得したのか、また松尾が去ったのち、なぜ敗れたのかを追うノンフィクションである。ここには、釜石という風土、学歴という文化の差、製鉄所内での仕事との両立、それらを乗り越える“勝利”が描かれている。
目次
プロローグ―新日鉄釜石ラグビーと松尾雄治
第1章 万年優勝候補―一九七一~七六年
第2章 黄金時代の幕開け
第3章 対トヨタ自工、まさかの敗戦
第4章 王座奪還―V1への道
第5章 負けようのないチーム―V2からV4へ
第6章 薄氷を踏む勝利―V5からV7へ
第7章 松尾なしで勝ちたい!―一九八五年の闘い
エピローグ その後、なぜ敗退していったか
著者等紹介
上岡伸雄[カミオカノブオ]
1958年東京生まれ。85年東京大学大学院英文科修士課程修了。明治大学教授などを経て、学習院大学文学部英語英米文化学科教授(専門は現代アメリカ小説)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さんつきくん
5
昭和50年代に日本選手権を7年連続優勝の伝説を作った新日鉄釜石ラグビー部(現釜石シーウェーブス)の当時を関係者の証言や専門誌の記事でたどるノンフィクション。岩手県釜石市と言う鉄と漁業が盛んな東北の街が舞台。V7の伝説と北の鉄人の異名は知っていたが、詳細を知らなかったので、読んでいて熱くなった。同じ東北人として光栄に思う。細かいラグビーの描写はラグビー未経験の私は妄想するしかなかったけれども。松尾雄治と言う天才と職人気質の選手達とがむしゃらに走った練習の化学反応がV7だった。2021/01/15
へたれのけい
5
釜石が強かったころは正月が楽しかった。当時録画したビデオも伸びてしまったりで、本書で久しぶりに昔を思い出す。2019/08/26
kazuboome
2
岩手県民のみならずスポーツを愛する方々に是非ご一読願いたい一冊。何故に釜石は強かったのか、天才松尾雄治とは何者だったのか、何故に勝てなくなったのか、涙しました。売上が復興支援にまわるそうです。
笹森 雅弘
1
1月15日は成人式で、振り袖姿で、国立。Eテレならぬ、教育テレビで、そして、岩手では、釜石ラグビー部の一年を振り返る番組あり。Jリーグの理念の前から、地域密着をスポーツで実践していた釜石‼️
何だか
1
前人未到の7連覇に感動するのと同時に、チームの全盛期とその後の転落が表裏一体になっている(釜石が勝ち続けたことで、逆に有望な若手が「打倒釜石」を目指し別チームに行く、ラグビー人気の盛り上がりにより実力のある高卒、大卒選手が獲得できなくなる)点、組織の運営の難しさも感じられて興味深い。2017/01/15