内容説明
日中国交正常化交渉、安保課長、PKO法案、サウジアラビア駐在、そしてロシア大使。昭和から平成、外交最前線では何があったのか。思索する外交官の「これだけは書きのこしておきたいこと」。米中ロ三大国に赴任した外交官の回顧録。
目次
札幌を出る
条約課事務官に
日中国交回復交渉
在中国の日本大使館に勤めて
ワシントンの二年間
北米局安全保障課で
ボストンへ
一年半の閑職
北米局に異動
PKO紛糾
「私にはリーガル・マインドがありません」
サウジアラビア大使となる
外務審議官という荒波
日ロ問題など、これだけは書きのこしておきたいこと
著者等紹介
丹波實[タンバミノル]
1938(昭和13)年、旧樺太に生まれ北海道札幌で育つ。東京大学法学部卒業。62年、外務省入省。ハーバード大学でロシア語、ロシア政治学の研修を終え駐ソ大使館に勤務。ソ連課長、安保課長、国連局長、条約局長、駐サウジアラビア大使、外務審議官、駐ロシア大使などを歴任。一貫してソ連・ロシア問題に携わってきたが、米中ロ三大国の大使館に勤務した経験がある。2002(平成14)年退職し、日本エネルギー経済研究所顧問となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
9
『戦後史の正体』でおなじみ孫崎氏に対する批判が書かれているというので読んでみた。NATO条約に関する件(孫崎氏は、日米安保条約では「自国の憲法上の規定及び手続きに従って」行動するとなっているから、米国は直ちに行動を取る義務は負っていない。一方、NATO条約では行動を直ちに執るとなっている。このことにより米国の日本防衛義務は弱いと主張している。しかしNATO条約は別条項で"締約国は憲法上の手続きに従って”と書いてある。孫崎氏はこの点を無視していると筆者は主張)は全面同意。北方領土に関する件は概ね納得する。2016/02/21
ヤギ郎
4
2011年出版。著者は1962年に外務省に入省し、ソ連・ロシア問題に携わってきた。2021/05/26
ケニオミ
3
以前友人と半分冗談で、霞が関でプラカード持って「官僚栄えて国滅ぶ」と二人だけでシュプレヒコールしようと考えていました。この本を読んで、しなくてよかったと冷や汗をかく思いをしました。著者の丹波實氏は、外務省官僚で、日本の国益を守るためには、誰に対しても怯むことなく直言し続けた人です。タイトル通り、彼の「外交人生」をまとめたのが本書です。出だしは面白くないなぁ~と思いましたが、サウジ大使になってからは俄然面白くなり、筆者が橋本元総理から「国士」と言われるあたりでは、「官僚の鏡」だと素直に思ってしまいました。2011/10/06
省事
2
久々に読み返す。「丹波は国士だよ」この文中の橋本龍太郎の評価に尽きる。2019/02/23
amatsukaze
0
他の外務官僚が実名で多数登場するので、クロスチェックに使える本。2012/08/22