Inside histories
黒死病―ペストの中世史

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  • サイズ B6判/ページ数 409p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120039881
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0022

出版社内容情報

十四世紀、またたく間に欧州人口の三分の一を奪った史上最悪の疫病。各種資料から、その恐怖を驚くべき緻密さで再現し、新型感染症の流行が囁かれる現代に過去からの警鐘を鳴らす。

内容説明

一三四七年秋、世界の終焉を告げる船がシチリアにたどり着いた―またたく間に欧州人口の三分の一を奪い、「大いなる死」と呼ばれた疫病の恐怖を、驚くべき緻密さで再現。

目次

オイメダム―さまよう病
「やつらは怪物だ、人間ではない」
恐怖の跫音
シチリアの秋
ヴィラーニかく記せり
テンプル騎士団総長の呪い
新しいガレノス医学
死という日常風景
頭を西に、足を東に向けて
ユダヤ人大虐殺
「ああ、信仰薄き者たちよ」
始まりの終わり

著者等紹介

ケリー,ジョン[ケリー,ジョン][Kelly,John]
ボストン大学を卒業後、ニューヨーク大学で修士号を取得。科学・医学ジャーナリストとなり、各種雑誌に寄稿する傍ら、大学時代から興味のあったヨーロッパ史の研究を続ける。9冊の著書があり、Three on the Edge:The Stories of Ordinary American Families in Search of a Medical Miracle(Bantam,1999)は物語のように読めるノンフィクション作品として高く評価された。妻である作家のシーラ・ウェラーとともにニューヨーク在住。息子と娘、二人の孫がいる

野中邦子[ノナカクニコ]
東京生まれ。多摩美術大学絵画科卒業。出版社勤務の後、フリーの編集者を経て、現在は英米ノンフィクションの翻訳に従事。翻訳グループ牧人舎所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

20
疫病はどこから来たのか、疫病は何者か、疫病はどこへ行くのか。史上最悪のパンデミックを引き起こした1347年からの黒死病(ペスト)大流行の歴史を豊富な資料で再現する。身分も財産も民族も関係なく欧州人口の3割近くが死に、不安と混乱の中で人の愚かさ醜さが容赦なく暴かれ、井戸に毒が投げ込まれたとの噂が広まってユダヤ人が大虐殺される有様は強烈な色彩の無惨絵だ。コロナ後の現代人もペスト後の中世のように浪費と淫乱に明け暮れる未来が想像できてしまう。この年からちょうど600年後にカミュの小説が刊行されたのも何かの因縁か。2020/04/29

はなよ

13
図書館から。面白いんだけど、序盤に大まかな流れを解説>その後時代に沿った解説、に続くので、何回も同じ記述があるし、ひたすら人の死ぬ様子が終章までの350ページに渡り表現されるので、飽きてくる。ただ、ペストの流行と合わせて中世の人達の暮らしぶりが事細かに描かれているので、たっぷりと時間のある人はじっくり読んでみるのもいいと思う。私は5章ぐらいでギブアップし、終章まで飛ばした。2017/10/03

MUNEKAZ

11
中世ヨーロッパにおける黒死病の大流行を、様々な面から論じた一冊。パンデミックがいきなり始まったのではなく、その前に天候不順や飢饉、戦争などにより社会が疲弊し不衛生な状態になっていたことにあるというのは納得。またこうした大災害のときは、人間の崇高な部分と弱くて醜い部分をさらけ出すということを再認識した。前者は社会をなんとか維持しようと普段と変わらぬ生活や仕事を進めた人々であり、後者はユダヤ人虐殺などの行為である。2016/07/21

鐵太郎

11
日本の歴史にはなぜか縁のないこの疫病の歴史は、日本人としてはどう受けとめたらいいのでしょうか。鐵太郎は、これを単なる中世の歴史の一コマとしてイメージしていましたが、西欧人にとってこの事件は全く別な意味になっていたのでしょうね。現在日本にも新型インフルエンザが蔓延し始めています。しかしこれを「パンデミック」と呼ぶのなら、まず死亡者数が4桁を越えてから言うべきではないのかな。人類は過去にこんな歴史もくぐったのです。それを乗り越えて新しい歴史が刻まれたのです。この程度でオタオタすんない、と言いたいな。2009/09/02

amemosky

7
1347年に始まる黒死病パンデミックの詳細なルポルタージュ。ヨーロッパの人口の実に1/3が死亡したといわれる大災禍の実像が、当時のサバイバーが残した日記や手紙、教会の記録などを元に克明に再現されていて、ヒストリーチャンネルでも見るかのよう。病原菌の知識がない時代にも人は惨禍の「原因」を求めるもので、なかでもユダヤ人陰謀説は最悪。今日においてもエボラ熱騒ぎの様相の一部には同じ心性が透けて見えることを心に留めておく。2014/10/31

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