静かな爆弾

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  • サイズ B6判/ページ数 199p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120039171
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

出会いは突然で、言葉にならない緊張のなか、出会った彼女は彼の心へしっかりと刻まれた。恋愛小説の新境地を切り開く意欲作。

内容説明

テレビ局に勤める早川俊平はある日公園で耳の不自由な女性と出会う。取材で人の声を集める俊平と、音のない世界で暮らす彼女。やがて恋に落ちる二人だが。

著者等紹介

吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年、長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。96年「water」が文學界新人賞最終候補となる。97年「最期の息子」で文學界新人賞受賞。同作は第117回芥川賞候補となる。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞受賞、同年、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞受賞。2007年『悪人』で毎日出版文化賞、大佛次郎賞をダブル受賞。純文学、エンターテインメントの領域を越えた今最も注目される作家である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shinji Hyodo

87
聴力に障害を持つ女性『響子』とテレビ局勤務で大きなスクープネタを何とか世に問いたいと足掻く『俊平』のラブストーリー⁉︎以前有川さんで「レインツリーの国」を読んで、似た様なシチュエーションでちょいと驚いた。こちらの声はおろか周りの音すら聴こえない相手にどうすれば自分の感情を理解してもらえるのか…言葉で表現すれば時に暴力的なる事も、文字にして伝えることで暴れる気持も治める事が出来る。どこか空回りしてしまうお互いの気持ちや行動に落ち着く決着がつけられるのか…?簡単に読めるのになんかいろいろモヤモヤと´д` ;2015/09/24

うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

80
耳の不自由な響子と初めて出会ったのは、閉門間近の神宮外苑の敷地内にある小さな公園だった。それから何度か彼女と会うようになり・・。同じように耳の不自由な女性との恋愛を描いた有川浩さんの「レインツリーの国」とは随分印象が違うなと思いました。書き手が違うので当たり前といえば当たり前なのですが、こちらの方がより生々しい感じがしました。彼が彼女に一番伝えたかった想い。様々な言葉が渦巻く中で最後に残されたシンプルなその言葉がズシリと胸に響きました。★★★★2012/12/23

R

79
深く感動した、とても面白い小説でした。生き方とか、考え方とかいう大きなものではなく、もっと手近な、些細なともいえる出来事の積み重ねが感じられて、その繰り返しによって気持ちが培われていくのだと、とても感動しました。耳が聞こえない女性との出会い、付き合い、そして自分の生活と主人公の忙しさと生き方も十分理解できるけども、それゆえに大切なものを失うかもしれない怖れが感じられて、ぐっと引き込まれました。結末もいいし、素晴らしい。2018/05/15

pukupuku

75
大仏遺跡を破壊する大規模な爆弾と響子が落とした静かな爆弾。まったく別のものなのに,同じもの。同じ行為のはずなのに,考え方を変えるだけで,まったく別のものにもなる。繰り返される日常と非日常。小さないざこざは大きなわだかまりとなり,誰を信じていいのかわからなくなる。なんとなく知っていることをなんとなく知ったままにして,関心を持たず楽観的な気持ちを信じて声を上げなかった結果,起きてしまった爆発。その大変さや苦しみを想像し,知ることにより導き出された答えがラストの言葉だっんだと思う。ちゃんと響子の心に届くはず。2017/04/30

あつひめ

71
画像や音で物事を伝えることに慣れ親しんでいる者と、聞こえなくとも空気を感じ察することができる女。まるで正反対の立ち位置で、お互いに心の距離感を掴みかねている…という印象で物語は終わってしまった。彼女はなぜ連絡を絶っていたのか。会いに行くと言って何を語るつもりでいたのか。彼女の家を探している間に、自分が何を探しているかわからなくなった…という感情はなんかわかる気がする。んー、少しモヤっと気分で本を閉じた。2016/07/30

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