身体の文化史―病・官能・感覚

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120037245
  • NDC分類 950.2
  • Cコード C1022

出版社内容情報

文学、医学書、作法書などから身体表層を解読、社会的規範や文化的価値観の変遷を辿る最新論考。

内容説明

禁断の恋、魅惑の香り、薄幸な運命が生んだ伝説を読み解く。文学、医学書、作法書などの身体表層を解読し、近代以降に誕生した社会的規範や文化的価値観の変遷を精査する最新研究成果。

目次

第1部 女性の身体とジェンダー(近代フランスにおける「女らしさ」の規範と表象;タブーと侵犯―恋する女の身体;ゾラにおける女・身体・ジェンダー)
第2部 身体感覚と文化(五感のヒエラルキー;めくるめく香りに魅せられて―嗅覚と文化;レアリスム文学と身体)
第3部 病はどのように語られてきたか(「病人」の誕生;コレラからアルコール中毒へ;結核と文学;スティグマの表象―エイズと現代文学)

著者等紹介

小倉孝誠[オグラコウセイ]
1956年、青森県生まれ。1987年、パリ第4大学文学博士。1988年、東京大学大学院博士課程中退。慶應義塾大学文学部教授。専門は近代フランスの文学と文化史。文学、芸術、社会、思想を文化史の視点から総合的に読み解こうとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ラウリスタ~

11
小倉先生らしい本。梅毒のみに関しては、寺田先生の本がより詳しいが、こちらでは天然痘、コレラ、アルコール中毒、ヒステリーなど他の病気との文学表象の比較が分かりやすい。女性の身体は有標化される(19世期の医学書には女性の病気のページはあるが、男性の病気のページはない)。フロベールの『ボヴァリー夫人』のスキャンダルを、見られる対象から女性が見る主体になっている点に認める。五感のヒエラルキー(コルバンら)や「病人の誕生」(アリエス)など、歴史学上の重要な論点を文学研究に導入していく案内としての役割も重要。2020/07/22

Prussian_Blue

3
内容的に重複記述が多かったのがやや気になりどころ。近現代のフランスをメインとした各国文学(日本もあったかな)における身体の表象史といった内容。ジェンダー、女体や病についてはオーソドックスな記述。ただ、五感それぞれの優位性、現代では視覚優位だがかつてはそうでなかったと読み解いてゆく部分は自分の思い込みを解きほぐされ興味深かった。文学がメインということもあり理系的に新たな知見はないので、それを求める方は他書をどうぞ。B-2015/05/06

kakimoc

2
文学、作法書、医学書を通じて身体(特に女性)がどのような表象であるかを探っている。著者が後書きで述べていたように、日本の国内作品も多く取り上げたものが読んでみたいと思った。あと今までの論をまとめたものなので、最後の病気の章は尻すぼみな感は否めず、ここももっと読みたかった。2011/05/05

ゲニウスロキ皇子

1
19世紀以降のフランスにおける女性の身体・五感・病の在り方の変遷を文学等を通して記述している。文章は非常にわかりやすく、どんどん引き込まれていく。身体論に興味がある人にとっては格好の入門書と言えるだろう。ただ、身体論ってどの著作を読んでも同じこと言っているんだよね。「身体はその時代の社会や文化の言説が記されている」と。身体を時代の描かれたキャンバスとして捉えることには魅力を感じるけれども、いつまでもこの論調じゃ飽きちまう。もうすこし生物学的な身体に目を向けたら視野が広がりそうなんだけれどもね。2011/05/06

ねぼ

0
結核という病は患者の持つ美しさを際立たせている。一方、天然痘は患者の内面の堕落への断罪という一面が強い。『椿姫』と『ナナ』の異なる末路の意味が理解出来た。ファム・ファタルについての勉強をしていたので大いに参考になった。2021/12/16

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