出版社内容情報
夏休み、さゆりと洋介の姉弟に毎日届く父の手紙は1日ひとつの小さな「お話」。物語を通して生まれる新しい家族の姿。<和田誠・絵>
◎物語を彩る37話の短い「お話」
◎カラー挿画37点・モノクロ挿画多数
◎小学校四年生から読めるふりがなつき
内容説明
夏休み、さゆりと洋介の姉弟に毎日届く父の手紙は一日一話の小さな「お話」。物語を通して生まれる新しい家族の姿。
著者等紹介
井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934年生。上智大学外国語学部フランス語科卒。「ひょっこりひょうたん島」など放送作家として活躍後、戯曲・小説・エッセイなどの執筆活動に入る。小説では『手鎖心中』で直木賞、『吉里吉里人』で日本SF大賞および読売文学賞、『腹鼓記』『不忠臣蔵』で吉川英治文学賞、『東京セブンローズ』で菊池寛賞、戯曲では「しみじみ日本乃木大将」「小林一茶」で紀伊国屋演劇賞および読売文学賞戯曲部門、「シャンハイムーン」で谷崎潤一郎賞、「太鼓たたいて笛ふいて」で毎日芸術賞など、受賞多数
和田誠[ワダマコト]
1936年生。多摩美術大学卒。77年から「週刊文春」の表紙を担当。挿画・装丁作品多数。デザイン・絵画の分野では文芸春秋漫画賞、講談社出版文化賞(ブックデザイン部門・さしえ部門)など受賞多数。さらに翻訳・映画監督・エッセイなど幅広い活動により菊池寛賞を受賞。井上ひさし戯曲の装丁、こまつ座公演ポスターなども手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
57
夏休みを田舎のお祖母さんのところで過ごしている姉弟の元に、毎日届く父からのお話。お父さんは絵本の会社の社長さんですが、全部で4人の小さな会社。水に浮かぶ絵本を売り込むために外国に行っています。多忙なお父さんを助けているのは弘子さん。お父さんのお話が途切れそうな時には、自ら創作して郵送していました。ヤンチャな小4の洋介君に振り回される真面目な姉さゆり。弘子さんがお母さんになるのではと心揺れる姉を、なんとヤンチャな弟が助けるとは!田舎の夏休みの楽しさ、図書館の有り難さがヒシヒシと伝わってきました。2016/07/19
nyanlay
15
読んでいる最中は児童書のような感覚なのですが、いやいや、実は結構奥が深い一冊。お姉さんのさゆりがしっかりしつつも、やはり年頃で家族の事を考え、悩んだり、弟の洋介君のイタズラが可愛くて、でも実は世の中を見ているとビックリ。何だかほのぼのする一冊でした。2015/11/29
がいむ
14
児童書のような、ショートショートのような楽しいお話が36+1。いなかのおばあさんのことろで夏休みを過ごす姉弟のもとへ毎日お手紙が。小さな出版社を経営しているお父さんから、ちいさなお話が届けられます。和田誠さんの絵もほのぼのして、のんびり読めるおはなしでした。2012/01/20
みゆき・K
13
田舎で一夏を過ごす姉弟の元に届く父からの一日一話の童話。姉弟の生活と童話が同時進行する。新釈遠野物語・児童版のような話もあった。しっかり者の姉が実は繊細で、姉を悩ませるいたずら坊主が意外にも物事の本質を見極めている。父の再婚話に葛藤する姉 さゆりの心情を想像すると複雑だ。弘子さん、自分が作ったって言えばいいのに。序盤の話は楽しかったれど、ファンタジーが苦手な私は中盤からの王様と魔女の話についていけなかった。これが現実とどう繋がるのか?さすがは劇作家の構成力と思うものの、いささか読みにくかった。2023/01/19
moonanddai
8
毎日送られてくる小さなお話し。おばあちゃんの田舎で暮らす夏休み。最初はそれぞれが別々の世界だったのが、だんだんとそれではすまなくなって…。大人向けの子供の本であり、子供向けの大人の本。この主人公の姉弟の純粋さというか、心の動きに感動させられます。いつも少しいじけた話ばかりの井上さんもこんな素直な本を書くんだ。と、天国の井上さん、ごめんなさい。2018/02/02