出版社内容情報
戦後日本のあるべき姿に沈痛な思いをよせた折口信夫。その学説を継ぐ著者が、緻密な知的追求と激情を秘めた詩的で求道的な思索とが交錯する師の内面をみつめ直し語り尽した力作伝記。
内容説明
人間を深く愛する神ありてもしもの言はゞ、われの如けむ。戦後日本のあるべき姿に沈痛な思いをよせた折口。その学説を継ぐ著者が、緻密な知的追求と激情を秘めた詩的で求道的な思索とが交錯する師の内面をみつめ直し語り尽した力作伝記。
目次
古代学と万葉集
万葉学とアララギ
まれびと論以前
力ある感染教育
内なる「まれびと」論
国学と神道
国学の伝統
「まれびと」とすさのを
日本人の神
時代と批評精神〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koala-n
3
サブタイトルに「その思想と学問」とあるように、折口信夫の生涯を伝記的に描くというよりも、学問の発展とその解説に多くのページが割かれている。著者は折口信夫の最後の弟子であり、また晩年に同居して共に生活をした人物。そのため、余人では窺い知れない生活人としての折口信夫も知っている訳であり、そのことが類書には無い深い理解を可能にしているように思う。また著者は折口門下の歌人としても著名であり、この本でも折口の短歌が大きなウェイトを占めていて、そこから学問の裏にある折口の心情が読み取られているのも特徴。良い本。2014/02/05