内容説明
あの「戦争」とは一体なにだったのか。昭和19年冬、零下5度の中国から赤道直下ハルマヘラ島へ転戦した一見習士官・池部良の極限下の戦争体験。
目次
中隊長殿の涙
粉雪が舞って
鞍をつけろ
教官殿助かりました
いやな野郎に呼ばれる
東京生まれは脆弱である
金柑、山査子、林檎の実
X日決定か
羽島軍曹の意見
上海に入る〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
3
ふむ2024/04/13
こばゆ
1
中高生くらいで「そよ風 ときにはつむじ風」を読んで、池部良=おもしろエッセイおじさんだとずっと思っていた。最近映画「乾いた花」をたまたま観て渋い二枚目俳優だったのにびっくりした。 従軍記ではあるが、持ち前の軽妙でウィットに富んだ文体で重くない。敢えて重く苦しいエピソードは避けている感はあるが。やたらに東京生まれを鼻にかけるので田舎者としては心中蟠るものがないではないが、折々の失敗談にも触れていることとて気にしないことにする。職業軍人の上官の無能さがこれでもかとこき下ろされ、山本七平の従軍記を思い出す。2020/07/23
ニックネーム
0
イケメン大スターのはしり、だけじゃないのです。 池部良さんは兵隊さんとして初めは零度以下の中国へ、更に灼熱の南国へ…のはずが船を爆撃され命からがらハルマヘラ島へ。 トカゲ食べたりマラリアにかかりながら終戦後もなかなか帰れず。 そのあと90歳を越えるまで文筆業もずっと続けていかれるんですが、どの作品にもやっぱり何度も何度も『前線に出る者にあんな食料と衛生事情で勝ってこい!ってそんな戦争はなんなのだ!』っていう叫びはいつでもいつでも正直に出していた。よむたびたまらない。この夏また読む。 2018/06/30