内容説明
中国の冥界の女は男を虜にするなまめかしい美女ぞろい。幽明境を異にする女と男の交わりが醸し出す東洋的幻想の世界。中国の女のお化けの物語。
感想・レビュー
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sin
69
『聊斎志異』から十二話…神仙、狐や菊の精など其の正体は様々であるがいずれも女性がらみの話しである。早い話が男の身勝手な願望を夢物語に託しているようで、ときに登場人物の辻褄の会わない不実な行動は棚上げにされている様に思えるがどうだろう?これだけをみると怪異を集めたと云うより、美女と出逢う物語を集めたとしか思えない。ただ、所々に散りばめられた作者が原文にあたっての考察は興味深い。2022/02/02
あす
3
中国・清時代の怪異小説「聊斎志異」約500話の中から、12篇を選んだもの。聊斎志異は分厚いし読みづらそうだし難しそう…と手が出せないでいたけど、これは解説がありすんなり読めて面白かった。人間の男が、類い希な美女(実は狐や幽霊、仙女、花の精)に惚れ、悲恋になったり富を得たり意外とめでたしで終わったり。2018/02/11
大空愛
3
時間が中々取れなくて、のんびりのんびり読みました?✨ 陳舜臣さんは本当にわかり易く読み易い文章で書かれてらっしゃるので、なんだか親しみが持てます✨ 聊斎志異考は陳さん独自の考察(ツッコミ?)もあり、ストーリーに付随したトリビアなんかもとても楽しむ事が出来ました? そのせいか、お化けの話なんだけどちっともこわくなかったなーwww 勿論、現実に起こったら怖いだろうなぁとは思うけれど? 陳さんの本をもっと沢山読んだら、かなりの中国(史)通になれてしまうのでは……?✨ それもなんかいーなー? 2017/11/21
竜王五代の人
2
岩波の「聊斎志異」を読破したので、一度陳舜臣先生の解説を読み返したくなった。「青鳳」の話のところなど、妻ある男が別の女とイチャイチャしてていいの、いや当時の倫理観では全然問題なかったのだが、と言う風にしっかりツッコミ入れてくれるので、そうそう、と手を打ちたくなって実に嬉しい。作家的な視点が入るのもよい。/「侠女」で、世話になったお礼として跡継ぎを産んであげる、というのも家系をつなぐのが大事な中国らしい発想だ/「黄英」では菊の精の弟の方に視点をあてる。左党の極み。2024/03/25
竜王五代の人
2
陳舜臣先生が、聊斎志異のうち12篇の時代や地理・故事について解説しつつ語ったもの。狐や天界の住人といっても、考え方も同じ、普通の人類が性交渉すると寿命が縮まる、ちょっと異能を持った異人類という体で書かれていることが分かった(今のラノベでの扱いとあんまり変わらないような……)。それよりも、一夫多妻制の社会だけあって、既婚者もロマンスの対象であったり、平気で妾の世話して子供を作ってもらおうとするあたりの方が、明・清という時代の異世界感がある。/異類妻が不良息子に悍婦をあてがって更生させる話はすごい。2020/12/24